2025/05/07

鳥居薬品株式会社株式(証券コード:4551)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木 功、以下「公開買付者」といいます。)は、本日開催の取締役会において、鳥居薬品株式会社(株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場上場、証券コード:4551、以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)による公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

 

1.買付け等の目的等

(1)本公開買付けの概要

公開買付者は、本日開催の取締役会において、東京証券取引所プライム市場に上場している対象者株式の全て(但し、対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議いたしました。なお、本日現在、公開買付者は、対象者株式1株(注1)(所有割合(注2):0.00%)を所有しております。

 

本取引は、①公開買付者による本公開買付け、②本公開買付けの成立後に公開買付者が本公開買付けにより対象者株式の全て(但し、対象者の親会社であり筆頭株主である日本たばこ産業株式会社(以下「日本たばこ産業」といい、公開買付者及び日本たばこ産業を総称して「公開買付関係者」といいます。)が所有する対象者株式15,398,800株(所有割合:54.78%。以下「不応募合意株式」といいます。)及び対象者が所有する自己株式を除きます。以下、公開買付者が所有する対象者株式、不応募合意株式及び対象者が所有する自己株式を除く対象者株式を、「本公開買付対象株式」といいます。)を取得できなかった場合に、対象者の株主を公開買付関係者のみとするために対象者が行う会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第180条に基づく対象者株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)、③本株式併合の効力発生後に対象者が実施する不応募合意株式の取得(以下「本自己株式取得」といいます。)を実施するために必要な資金及び分配可能額を確保するために行う公開買付者による対象者に対する資金提供(対象者に対する貸付け、公開買付者を引受人とする第三者割当増資(注3)その他の方法によることを予定しております。以下「本資金提供」といいます。)並びに会社法第447条第1項及び第448条第1項に基づく対象者の資本金及び資本準備金の額の減少(以下「本減資等」といいます。(注4))、並びに④本自己株式取得から構成され、最終的に対象者の株主を公開買付者のみとすることを企図しております。なお、本株式併合の詳細については、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。

(注1)公開買付者は、対象者に対して株主名簿の閲覧謄写請求を行うことを目的として、2025年4月28日を取得日として、対象者の従業員から相対取引により対象者株式1株を4,340円(2025年4月28日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値)で取得しております。

(注2)「所有割合」とは、対象者が2025年4月25日付で公表した「2025年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」(以下「対象者決算短信」といいます。)に記載された2025年3月31日現在の発行済株式総数(28,800,000株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(688,848株)を控除した株式数(28,111,152株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。

(注3)このような第三者割当増資を行う場合、公開買付価格の均一性(法第27条の2第3項)の趣旨に抵触しないよう、公開買付者による普通株式1株当たりの払込価額を決定する前提となる対象者株式の評価は、本公開買付けにおける対象者株式の買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格とし、かつ、払込価額が「特に有利な金額」(会社法第199条第3項)に該当しない金額(但し、本株式併合における対象者株式の併合の割合に基づき形式的な調整を行う予定です。)にする予定であり、本公開買付価格よりも有利な条件が設定されるものではありません。

(注4)公開買付者は、本自己株式取得を実施するために必要な分配可能額が確保されない場合に限り、対象者に対して、本減資等の実施を要請する予定です。

 

本取引に際し、公開買付者は、本日付で、日本たばこ産業との間で、①同社が所有する不応募合意株式について本公開買付けに応募しないこと、②本株式併合の実施に必要な対象者の株主総会に上程される議案に公開買付関係者が賛成の議決権を行使すること、③日本たばこ産業が本自己株式取得に応じて不応募合意株式を売却すること等を内容に含む公開買付けに係る合意書(以下「本合意書」といいます。)を締結しております。なお、本合意書の詳細については、下記「(6)本公開買付けに関する重要な合意に関する事項」の「① 公開買付けに係る合意書」をご参照ください。

 

 

〔本取引のスキーム〕

①     本公開買付けの実施前(現状)

 

本日現在において、公開買付者が対象者株式1株(所有割合:0.00%)、日本たばこ産業が対象者株式15,398,800株(所有割合:54.78%)、少数株主が残りの12,712,351株(所有割合:45.22%)(注1)を所有。

(注1)少数株主が所有する対象者株式の数は、対象者決算短信に記載された2025年3月31日現在の発行済株式総数(28,800,000株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(688,848株)を控除した株式数(28,111,152株)から、本日現在公開買付者が所有する対象者株式の数(1株)及び日本たばこ産業が所有する対象者株式の数(15,398,800株)を控除する方法により計算しております。

 

② 公開買付者による本公開買付けの実施(~2025年6月中旬)

公開買付者は、本公開買付対象株式の全てを対象とする本公開買付けを実施。

 

③ 本株式併合(~2025年9月上旬)

公開買付関係者は、本公開買付けにより、本公開買付対象株式の全てを取得できなかった場合には、対象者の株主を公開買付関係者のみとするための本株式併合の実施を対象者に対して要請し、対象者は当該手続を実施。

 

④ 本資金提供及び本減資等(~2025年9月上旬)

対象者株式の上場廃止及び本株式併合の効力発生の後に、本自己株式取得に必要となる資金及び分配可能額を確保するために、本資金提供及び本減資等を実施。

 

⑤ 本自己株式取得(~2025年9月上旬)

対象者は、本資金提供及び本減資等により確保した資金及び分配可能額を活用し、日本たばこ産業が所有する不応募合意株式の全てを取得するための本自己株式取得を実施。

 

 

 

⑥ 本取引実施後

 

公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を3,342,000株(所有割合:11.89%)としており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(3,342,000株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行いません。他方、公開買付者は、本公開買付けにおいて本公開買付対象株式の全てを取得することにより、対象者を非公開化の上で最終的に公開買付者の完全子会社とすることを目的としていることから、買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(3,342,000株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。

なお、買付予定数の下限(3,342,000株)は、対象者決算短信に記載された2025年3月31日現在の発行済株式総数(28,800,000株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(688,848株)を控除した株式数(28,111,152株)に係る議決権の数(281,111個)の3分の2となる数(187,408個(小数点以下切り上げ))から、日本たばこ産業が所有する不応募合意株式(15,398,800株)に係る議決権の数(153,988個)を控除した議決権の数(33,420個)に、対象者の単元株式数(100株)を乗じた数(3,342,000株)です。このような買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けにおいては、対象者の株主を公開買付関係者のみとすることを目的としているところ、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより本公開買付対象株式の全てを取得できず、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本株式併合の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされること、また、日本たばこ産業との間で、同社が不応募合意株式について本公開買付けに応募しない旨、及び本公開買付けが成立した場合には公開買付関係者が本株式併合に関する各議案に賛成する旨を合意していることから、本取引の実施を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付関係者が対象者の総株主等の議決権の数の3分の2以上を所有することで、当該要件を満たすことができるように設定したものです。

 

公開買付者は、本公開買付けに係る決済等に要する資金を自己資金により賄うことを予定しており、これらをもって、本公開買付けの決済資金等に充当する予定です。また、本自己株式取得は、対象者の分配可能額の範囲内で行われますが、公開買付者は、対象者において本自己株式取得に必要となる資金の額、対象者の保有する現預金、及び、対象者の事業運営に要する現預金の水準等を勘案して、本株式併合の効力発生を条件として、本資金提供、及び、本減資等を実施又は実施せしめることにより、対象者が実施する本自己株式取得のための資金を確保すること、及び、対象者の分配可能額の不足額を賄うことを予定しております。なお、本自己株式取得は、日本たばこ産業において、法人税法(昭和40年法律第34号。その後の改正を含みます。)に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、本自己株式取得に関する取得価格(株式併合前1株当たり。以下「本自己株式取得価格」といいます。)(本日現在、4,568円を予定しております。)を、仮に日本たばこ産業が本公開買付けに応募した場合に得られる税引後手取り額と本自己株式取得に応じた場合の税引後手取り額が同等となる金額を基準として設定しつつ本自己株式取得価格を抑え、(本自己株式取得価格は、本公開買付価格より1,782円低い価格となる予定です。)対象者の少数株主への配分をより多くすることで、本公開買付価格(対象者株式1株当たり6,350円)の最大化と株主間の公正性を両立させることを目的に実施するものです。

 

対象者が本日付で公表した「塩野義製薬株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は同日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することの決議をしたとのことです。なお、対象者取締役会における意思決定過程の詳細については、対象者プレスリリース並びに下記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」及び下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」をご参照ください。

 

(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針

① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

公開買付者は、1878年3月に初代塩野義三郎薬種問屋を創業いたしました。1919年6月に株式会社に組織変更して、商号を株式会社塩野義商店に変更した後、1943年7月に塩野義製薬株式会社と改称し、1949年5月に東京証券取引所及び株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)に株式を上場いたしました。公開買付者の株式は、東京証券取引所と大阪証券取引所の統合及び2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しております。公開買付者は、「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」ことを基本方針(SHIONOGI Group Heritage)として、世界中の患者さまや社会の抱える困りごとをより包括的に解決するために、医療用医薬品の提供に留まらずに、顧客の皆さまのニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」への変革を進めています。2020年に、2030年に成し遂げたいVision(SHIONOGI Group Vision)として「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことを掲げ、そのVisionを実現するための戦略として中期経営計画「SHIONOGI Transformation Strategy 2030(STS2030)」を策定し、公開買付者グループ(注1)一丸となって取り組みを進めてまいりました。2020年度から2022年度までの3年間は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるパンデミックの早期終息を目指して、治療薬の提供に留まらずCOVID-19のトータルケアの実現に向けて、検知(流行予測)、予防、診断、重症化抑制といった各ソリューションの提供に取り組んできました。その結果として、COVID-19治療薬「ゾコーバ」については、一般的に、医療用医薬品では新薬の研究開発の開始から国内での承認取得までに、9~16年(注2)程度の期間を要するところ、研究開発の開始から約3年というこれまでとは全く異なるスピードで国内での通常承認を取得するなど、創薬力を進化させてきました。また、公開買付者グループ初となるワクチンや下水疫学調査サービスなど医療用医薬品以外の製品やサービスを拡大させることができました。これらの取り組みから得た成果や学びをもとに、SHIONOGI Group Visionの実現に向けた道筋がより明確になったことから、2023年にSTS2030を改訂し、STS2030 Revisionとして新たなスタートを切りました。従来のSTS2030では、2020年度を起点とする2024年度までの5年間をSTS Phase1、以降2030年度までをSTS Phase2と位置付けていましたが、STS2030 Revisionでは、2023年度から2025年度の3年間を新たにSTS Phase2と位置付け、「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現すること」を基本方針として、変革による成長を加速させてまいります。

(注1)公開買付者グループ(公開買付者及び公開買付者の関係会社)は、公開買付者、連結子会社41社、関連会社5社及び共同支配企業2社(本日現在)より構成されており、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一セグメントであります。

(注2)出典:日本製薬工業協会「製薬協ガイド2024」

 

一方、対象者は、1872年に鳥居徳兵衛が洋薬輸入商「植野屋」を創立し、1909年に薬品試験所を設置し、私封品の製造販売を開始したとのことです。1921年11月に株式会社鳥居商店を設立、1949年5月に鳥居製薬株式会社を合併し、商号を鳥居薬品株式会社に変更したとのことです。

対象者株式については、1963年6月に対象者株式を店頭銘柄として東京証券業協会に登録し、1993年10月に東京証券取引所市場第二部に株式を上場し、1995年9月には東京証券取引所市場第一部に指定替えがなされ、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しているとのことです。また、対象者は、1983年10月に米国メルク社に対して第三者割当増資を行い、同社は対象者発行済株式総数の50.5%を保有する親会社になったのち、1988年5月にアサヒビール株式会社が米国メルク社から対象者株式を取得し、1998年12月に日本たばこ産業がアサヒビール株式会社等から対象者株式の発行済株式総数の53.5%を取得し、同日以降現在に至るまで同社が対象者の親会社となっているとのことです。その後、1999年10月に日本たばこ産業との業務提携を行い、日本たばこ産業が研究開発を担う一方で、対象者が製造・販売及びプロモーション活動を担い、両社で一体的なバリューチェーンを構築することで効率的な協業体制を確立しているとのことです。

対象者は、企業理念である「鳥居薬品の志」として「患者さんとそのご家族や医療に携わる方々に誠実に向き合い、患者さんの健康回復と、病に縛られない豊かで笑顔多い人生に貢献する」こと、そしてそのために、「長い歴史の中で培った皆様からの信頼を受け継ぎながら、時代や環境に合わせて柔軟に変革・進化し、私たちだからこそ出来る医療への貢献に挑戦し続ける」ことを掲げているとのことです。また、経営の基本的考え方を「4Sモデル:私たちは、高品質の事業活動によって生み出される資金を循環/拡大することを通じて、お客様、株主、社会、社員の四者に対する責任をバランス良く果たし、満足の総和を高めていきます。」として位置付けているとのことです。

2022年2月に2030年の目指す姿として中長期事業ビジョン「VISION2030」を公表し、2030年までに「過去最高の売上高(641億円)を更新する」「過去最高益(133億円)を射程に入れる」ことを計数目標として掲げたとのことです。この「VISION2030」目標の達成及び2030年以降の持続的成長を確実なものとするべく、「既存製品及び開発品の価値最大化」及び「新規導入品の獲得」に注力しているとのことです。「既存製品及び開発品の価値最大化」においては、アレルゲン領域及び皮膚疾患領域が成長ドライバーとして牽引し、2024年の売上高は対前年比10.6%の増加となっているとのことです。また、2024年10月29日には開発を進めていたアトピー性皮膚炎治療剤及び尋常性乾癬治療剤「ブイタマークリーム」の販売を開始したとのことです。「新規導入品の獲得」にも積極的に取り組んでおり、2023年には「尋常性ざ瘡治療薬」、「イネ科花粉症に対するアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)薬」のライセンス契約をそれぞれ締結しているとのことです。

 

上記の取り組みにより、2024年2月には、「VISION2030」の計数目標を上方修正し、「売上高:800億円超」(過去最高売上高:641億円(2017年12月期))「営業利益:2032年の過去最高益(133億円)更新を射程に入れる」(過去最高営業利益:133億円(2001年3月期)ことを目指しているとのことです。

 

近年、世界人口の増加と高中所得国における少子高齢化の進行、地球規模で起こる気候変動等の環境変化とそれらに伴う疾病構造やヘルスケアに求められるニーズの変化、人工知能の飛躍的な進化、人々の価値観の多様化、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックを契機とした創薬の研究開発の進め方やグローバル展開の考え方の変革等、ヘルスケア産業を取り巻く外部環境は急速に変化しております。また、医療保険財政のひっ迫に伴い、先進諸国で薬剤費抑制の圧力が強まる中、我が国においては医療用医薬品について2021年度より毎年薬価改定が実施されるなど、経営を取り巻く環境は厳しさを増しております。さらには、諸外国におけるビジネス展開や医薬品の原材料の調達・供給が停滞する地政学的なリスクなども日々顕在化してきております。

 

公開買付者は、上記のSTS2030 Revisionの取り組みの中で、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」というビジョンの実現のために、日本たばこ産業の医薬事業(以下「JT医薬事業」といいます。)及び対象者との協業に関して検討を2024年初頭より進めてまいりました。検討の結果、公開買付者によるJT医薬事業の譲受及び対象者の完全子会社化は当該ビジョン実現のための意義が大きいと考え、2024年8月上旬に日本たばこ産業及び対象者に対して、公開買付者によるJT医薬事業の吸収分割(以下「本吸収分割」といいます。)による譲受及び本取引に関する提案を実施いたしました(本吸収分割については、公開買付者が本日付で公表した「日本たばこ産業株式会社の医薬事業の会社分割(簡易吸収分割)及びShionogi Inc.によるAkros Pharma Inc.の株式譲受(孫会社化)に関する合意書締結のお知らせ」をご参照ください。)。(注1)

(注1)なお、公開買付者は、本吸収分割の対価は、JT医薬事業の事業価値を基に算出し、日本たばこ産業による本公開買付けへの合意の可否とは独立して検討したものであることから、本公開買付けに関する対価を提供するものではなく、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反するものではないと考えております。

 

公開買付者は、本取引後の具体的な施策、事業シナジーとして、以下を想定しております。

(i) 国内事業の強化

公開買付者は基本方針である「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」を実現するため、適正な情報提供活動を推進しております。本取引後は、診療科、施設に対する公開買付者と対象者の異なる強みが統合され、情報提供の範囲が広がり、かつ医師のニーズにあった適切な情報提供が実現することで、特に一定のシェア オブ ボイス(注1)を必要とする製品においては価値最大化の観点でのシナジー効果が発揮されるものと考えております。具体的には、公開買付者はCOVID-19、インフルエンザに対する抗ウイルス薬の情報提供を推進しておりますが、さらに多くの医師に適正使用情報をお届けする必要性を感じているところ、対象者が強い営業力を持つ皮膚科、小児科及び耳鼻科における情報提供が加わることで、ますます多くの患者さまに抗ウイルス薬をお役立ていただけるものと考えております。他方、対象者のコレクチムなどの皮膚科領域の製品を公開買付者リソースにより、皮膚科以外(例えば内科、整形外科等)の診療科における情報提供活動の強化を実現できるものと考えております。また一人の医師に複数の製品をお届けすることが可能となり、情報提供の幅が広がることで、顧客満足の向上、営業活動の効率化にも寄与できると考えております。また、将来的には、両社の開発パイプライン(注2)においても公開買付者の有する高い研究開発力と対象者の有する強い営業力を活かした開発/販売戦略が構築できるものと考えております。

(ii) グローバル展開の加速

公開買付者は米国・欧州を中心に、グローバル開発機能及び販売網を有しており、今後も海外における開発、薬事機能、自社販売の強化やグループ全体のグローバル化を進めてまいります。現在、対象者はJT医薬事業と共同で国内開発にも従事していると理解しておりますが、本取引の実施を通じて、対象者の将来の開発パイプラインについてグローバル展開の可能性が高まり、国内外での研究開発・販売データの収集及び評価を積み重ねることで販売強化に繋がると考えております。また、対象者が積極的に取り組んでいる導入品候補の探索活動及び事業投資活動においても、公開買付者のネットワークや専門知識を有している人材を活かすことでさらに効率的かつ有効な活動が展開できると考えております。

(iii) 柔軟な製造/販売体制の実現

公開買付者は製造部門としてシオノギファーマ株式会社を有しており、自社の製造施設にて医薬品の製造を行うことを原則とし、グローバルサプライチェーン構築を充実させてきております。公開買付者としては、昨今、地政学的な問題、多企業での品質問題、欠品・限定出荷の増加等、サプライチェーンのボラティリティが高まっており、為替影響や原材料の高騰など原価のコントロールも厳しさを増していると認識しております。公開買付者としては、そのような環境下において、JT医薬事業や対象者の医薬品についても公開買付者の有する、上記の公開買付者にて医薬品の製造やグローバルサプライチェーン構築を実現できているといったケイパビリティ(注3)を活用し、公開買付者の製造施設を活用することで、製品の増産などのフレキシブルな生産体制を自社において確立することができ、公開買付者の有するバックアップサイト(注4)を確保することでJT医薬事業や対象者の医薬品の交渉力の強化に繋がると考えております。その結果として、事業上の競争力を高め、製造原価低減にも寄与すると考えております。

(注1)「シェア オブ ボイス」とは、自社製品の情報提供活動(医師との面会数、説明会数など)が、市場全体の中でどの程度の割合を占めているのかを示す指標のことをいいます。

(注2)「開発パイプライン」とは、医療用医薬品における新薬の候補となる開発品のことをいいます。

(注3)「ケイパビリティ」とは、企業が有する事業全体に及ぶ組織全体の強みのことをいいます。

(注4)「バックアップサイト」とは、災害時などに主要な製造設備が使用できなくなった際に、事業を継続するために使用される予備の施設や設備のことをいいます。

 

公開買付者は、上記のシナジーを実現するにあたって、公開買付者と対象者の機動的な連携を最大限実現するには、機動的な経営体制のもとで柔軟な意思決定を迅速に下していくことが重要と考え、対象者の上場を維持したまま業務提携を行うのではなく、本取引を通じた対象者の完全子会社化が必要であると考えております。具体的には、大規模な設備投資等の中長期的な企業価値向上のための施策の立案及び実行が、短期的な投資負担の増加に起因した株価の一時的な下落に繋がるリスク等が考えられ、対象者株式の上場を維持した状態では、中長期的な企業価値の向上を目指す公開買付者と一般株主との間で潜在的な利益相反を生む可能性があります。事業面の連携においても、対象者株式が上場を維持した状態では、上場会社としての独立性の観点から、それぞれの顧客情報や販売情報等の即時的な相互共有が難しいこと等の要因により、公開買付者と対象者が一つのグループとして最適な戦略をとる上での制約要素となりえる点などから対象者の完全子会社化が必要であると考えております。対象者の完全子会社化により、対象者を含めたグループ全体最適の観点で、公開買付者のグループ経営資源の配分が可能となり、スピード感をもって本取引によるシナジーの機動的な実現が可能になると考えております。また、公開買付者は、本取引に伴う対象者株式の非公開化によって、対象者の知名度の低下による取引先との関係や人材採用の点での一定の影響があると認識していますが、公開買付者グループと一体性を持った採用活動や共同マーケティング等を通じてその影響を超えるシナジー効果が得られるものと考えております。

公開買付者は、本取引の本格的な検討にあたり、2024年5月下旬に対象者及び公開買付関係者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、SMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)に本取引に関する相談を行い、2024年6月下旬にリーガル・アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業を選任いたしました。

 

その後、公開買付者は対象者に対して、2024年8月6日に本公開買付けに関する初期的な意向表明を行いました。その後、2024年8月下旬から同年10月上旬までの間、法務・財務・税務等の観点からの各種デュー・ディリジェンスを実施するとともに、本日に至るまで、本公開買付価格について本格的な協議・検討を進めてまいりました。

具体的には、公開買付者は、2024年10月2日にデュー・ディリジェンスにおいて開示された情報、SMBC日興証券による対象者株式の市場株価法、類似上場会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)を用いた算定結果を総合的に勘案し、本公開買付価格を5,878円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,900円に対して50.72%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、プレミアムの計算において同じです。)、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,750円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して56.75%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,647円に対して61.17%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,730円に対して57.59%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,239円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,900円に対して8.69%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,750円に対して13.04%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,647円に対して16.23%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,730円に対して13.65%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の第1回提案を行いました。これに対して、対象者より、2024年10月15日、当該公開買付価格は、本取引と類似した事例と比較すると、およそ同程度のプレミアムが付されていると認識しており、一定の評価をするものの、①プレミアムは価値評価そのものではなく、類似事例の数値から統計値等を計算して比較しているに過ぎないこと、②本取引は本自己株式取得による税務メリットを利用することで少数株主に対して高い公開買付価格を提示可能であるところ、当該税務メリットを利用しない場合と比較して必然的にプレミアムが高くなることを踏まえれば、本取引はプレミアムの多寡のみで判断すべきでなく、対象者株式について正当な価値評価がなされているかで判断すべきであること、③対象者の事業計画に基づいた今後の成長性を踏まえれば、当該公開買付価格は著しく低いこと、④本取引の具体的なシナジー効果を想定した上で、実現可能性を加味し、定量化し企業価値に反映すべきこと、以上の理由から、本公開買付価格の引上げの要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2024年10月28日、対象者の将来的な成長ポテンシャルを十分に考慮した対象者の本源的価値を反映したものとして、本公開買付価格を6,062円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,870円に対して56.64%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,929円に対して54.29%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,704円に対して63.66%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,734円に対して62.35%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,334円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,870円に対して11.99%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,929円に対して10.31%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,704円に対して17.01%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,734円に対して16.07%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の第2回提案を行いました。また、2024年12月期における期末配当について、2024年10月2日付公開買付価格の提案において、当該期末配当が行われないことを前提としたものである旨説明を行いました。これに対して、対象者より、2024年11月11日、第2回提案における公開買付価格は、対象者の本源的価値を100%表した価額とは到底言えず、上値の余地が存在するものと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、いまだ十分な水準にあると評価できないものと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。一方で、公開買付者は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。以下「独占禁止法」といいます。)第10条第2項に基づき、本公開買付けによる株式取得(以下「本株式取得」といいます。)に関して、公正取引委員会によるクリアランス(詳細は下記「6 株券等の取得に関する許可等」をご参照ください。)を得る必要があるところ、2024年11月1日に実施した公正取引委員会への事前相談の中で、公正取引委員会による本株式取得に係る事前審査(以下「本事前審査」といいます。)に関して当初想定よりも期間を要することが判明し、2024年11月5日、対象者に対して本公開買付価格の協議に関して休止することを申し入れました。その後、クリアランス取得に向けた公正取引委員会との協議が一定程度進展したことから、公開買付者は、2025年1月10日、対象者に対して本取引公表予定日を2025年3月5日として本公開買付価格の協議を再開したい意向を申し入れました。しかしながら、その後、公正取引委員会への事前相談を継続する中で、改めて本事前審査に期間を要することが判明したことから、公開買付者は、2025年2月4日、対象者に対して本公開買付価格の協議に関して再度休止することを申し入れました。さらにその後、引き続き公正取引委員会への事前相談を継続していたところ、公正取引委員会による本事前審査につき終了の目処が立ったことから、公開買付者は、2025年3月13日、対象者に対して本取引公表予定日を2025年5月7日として本公開買付価格の協議を再開したい意向を申し入れました。そして、公開買付者は、2025年4月11日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,181円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,230円に対して46.12%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,508円に対して37.11%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,554円に対して35.73%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,497円に対して37.45%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,450円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,230円に対して5.20%のプレミアム、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,508円に対して1.29%のディスカウント、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,554円に対して2.28%のディスカウント、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,497円に対して1.05%のディスカウントとなる価格)とする旨の第3回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年4月15日、第3回提案における公開買付価格は、依然として対象者の本源的価値として十分な価額を表したものではないと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、より高い価格の提示が可能と考えていること、第3回提案価格における公開買付価格から算出されるプレミアムは、過去1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月における終値単純平均株価対比ではいずれも30%台に留まっており、同種の過去事例と比較して充分な水準にあると評価・判断することは困難であるとして、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2025年4月18日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,283円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,500円に対して39.62%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,463円に対して40.78%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,534円に対して38.58%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,510円に対して39.31%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,522円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,500円に対して0.49%のプレミアム、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,463円に対して1.32%のプレミアム、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,534円に対して0.26%のディスカウント、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,510円に対して0.27%のプレミアムとなる価格)とする旨の第4回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年4月21日、第4回提案における公開買付価格は、これまでの主張に基づいて、一定の配慮がなされたものと判断する一方で、事業計画に基づき本源的価値を充分に評価するか、若しくは期待されるシナジー効果額を織り込む等することにより、株式価値をより高く評価することで、公開買付価格をより高くする余地は依然として存在するのではないかと考えていること、また、市場株価に対するプレミアム率に関しても、足元の株価水準に鑑みれば、必ずしも充分と言える水準ではないとして、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2025年4月25日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,326円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,435円に対して42.64%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,425円に対して42.96%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,506円に対して40.39%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,531円に対して39.62%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,551円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,435円に対して2.62%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,425円に対して2.85%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,506円に対して1.00%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,531円に対して0.44%のプレミアムとなる価格)とする旨の第5回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年4月28日、第5回提案における公開買付価格は、第4回提案における公開買付価格から引き揚げられたものの、小幅に留まっており、依然として一般株主に対して必ずしも十分な配慮がなされた水準とはいえないのでないかとして、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2025年5月1日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,350円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,850円に対して30.93%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,397円に対して44.42%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,469円に対して42.09%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,553円に対して39.47%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,568円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,850円に対して5.81%のディスカウント、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,397円に対して3.89%のプレミアム、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,469円に対して2.22%のプレミアム、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,553円に対して0.33%のプレミアムとなる価格)とする旨の第6回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年5月2日、第6回提案を受諾する旨の回答を受領し、本公開買付価格を6,350円、本自己株式取得価格を4,568円とすることについて対象者との間で合意に至りました。

 

①     対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

上記「① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、対象者は、公開買付者から2024年8月6日に提案を受領し、親会社である日本たばこ産業からも公開買付者の提案の検討を進める意向を確認したとのことです。

当該提案を踏まえ、2024年8月上旬に、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当しないものの、(ⅰ)公開買付者と対象者の親会社であり筆頭株主である日本たばこ産業の間で、同社が所有する不応募合意株式について本公開買付けに応募しないこと、本株式併合の実施に必要な対象者の株主総会に上程される議案に公開買付関係者が賛成の議決権を行使すること、日本たばこ産業が本自己株式取得に応じて不応募合意株式を売却すること等を内容に含む本合意書を締結する予定であり、また、公開買付者が日本たばこ産業からJT医薬事業を譲り受ける予定であることから、対象者株式を15,398,800株(所有割合:54.78%)所有する大株主である親会社であり筆頭株主である日本たばこ産業と対象者の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があること、及び(ⅱ)本公開買付けが対象者を完全子会社化することを目的として行われる本取引の一環として行われることから、対象者における本取引の検討の過程において構造的な利益相反の問題及び少数株主との間の情報の非対称性の問題がないとは言い切れないことに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、直ちに、公開買付関係者から独立した立場で交渉及び判断を行うための体制の構築を開始したとのことです。

具体的には、対象者は、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2024年8月9日に開催した対象者取締役会において、対象者の社外取締役である藤田研一氏(対象者社外取締役(監査等委員)、株式会社GreenBridgeSolutions 代表取締役社長、株式会社K-BRIC&Associates代表取締役社長)、松村卓治氏(対象者社外取締役(監査等委員)、弁護士、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー、株式会社文化放送監査役、株式会社モスフードサービス社外監査役)、真鍋美穂子氏(対象者社外取締役(監査等委員)、財務コンサルタント(個人事業主))の3名によって構成される、公開買付関係者及び対象者のいずれからも独立した、特別委員会(以下「本特別委員会」といいます)を設置したとのことです(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。

また、対象者は、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 対象者における独立した検討体制の構築」及び「⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」に記載のとおり、公開買付者グループ及び対象者グループから独立した立場で、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行う体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を対象者の社内に構築し、検討を進めたとのことです。

対象者は、上記体制を整備した後、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、みずほ証券及び長島・大野・常松法律事務所の助言を受けながら、本公開買付けの実行の是非に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行ったとのことです。

具体的には、2024年8月上旬に公開買付者より受領した提案書に対して、公開買付者の提案が対象者の企業価値向上の観点から検討に資する提案であるか、また、公開買付者による法務・財務・税務等の観点からの各種デュー・ディリジェンスを受け入れるに資する提案であるかを検討するにあたり、公開買付者に対して、2024年8月16日に本取引の意義、買収後の運営方針に関する質問事項を送付し、2024年8月21日に公開買付者から皮膚疾患領域、アレルゲン領域及び腎・透析領域における対象者の強みを適切に評価しており、対象者との経営統合によりシナジー効果を見込んでいる旨の回答を受領したことを踏まえて、公開買付者の提案が対象者の企業価値向上の観点から検討に資する提案であると判断し、各種デュー・ディリジェンスを受け入れることとしたとのことです。

対象者は、本取引に伴う非公開化によって、人材採用や取引先からの信用に一定のデメリットが生じる可能性はあるものの、その影響を超えるシナジー効果が得られるものと考えているとのことです。期待されるシナジー効果は、具体的には以下のとおりとのことです。

(a) 国内事業の強化

公開買付者が認識しているとおり、診療科、施設に対する公開買付者と対象者の異なる強みが統合され、情報提供のカバレッジが広がり、かつ医師のニーズにあった適切な情報提供が実現することで、特に一定のシェア オブ ボイスを必要とする製品においては価値最大化の観点でのシナジー効果が発揮されるものと考えているとのことです。具体的には、公開買付者はCOVID-19、インフルエンザに対する抗ウイルス薬の情報提供を推進しておりますが、さらに多くの医師に適正情報をお届けする必要を感じているところ、対象者が強い営業力を持つ皮膚科、小児科及び耳鼻科における情報提供が加わることで、ますます多くの患者さまに抗ウイルス薬をお役立ていただけるものと考えているとのことです。他方、対象者のコレクチムなどの皮膚科領域の製品を公開買付者リソースにより、皮膚科以外(例えば内科、整形外科等)の診療科での情報提供活動の強化を実現できるものと考えているとのことです。また一人の医師に複数の製品をお届けすることが可能となり、情報提供の幅が広がることで、顧客満足の向上、営業活動の効率化にも寄与できると考えているとのことです。また、将来的には、両社の開発パイプラインにおいても両社の強みを活かした開発/販売戦略が構築できるものと考えているとのことです。

(b) グローバル展開の加速

公開買付者は米国・欧州を中心に、グローバル開発機能及び販売網を有しており、今後も海外における開発、薬事機能、自社販売の強化やグループ全体のグローバル化を進めている一方、現在、対象者はJT医薬事業と共同で国内開発を主体としているとのことです。本取引の実施を通じて、対象者の将来のパイプラインについてグローバル展開の可能性が高まり、国内外での研究開発・販売データの収集及び評価を積み重ねることで販売強化に繋がると考えているとのことです。また、対象者が積極的に取り組んでいる導入品候補の探索活動及び事業投資活動においても、公開買付者のネットワークや専門知識を有している人材を活かすことでさらに効率的かつ有効な活動が展開できると考えているとのことです。

(c) 柔軟な製造/販売体制の実現

対象者は、2020年より製造機能を保有しておらず、製造は全て外部に委託しており、また、海外からの導入品に関しては、大部分が導出元の製造した製品を輸入しているとのことです。そのため、公開買付者の認識しているとおり、公開買付者が保有する製造部門としてシオノギファーマ株式会社を利用し、一部製造を当該製造部門に委託することにより、地政学的な問題、多企業での品質問題、欠品・限定出荷の増加等、サプライチェーンのボラティリティに対応できる可能性があり、今後、製品の増産などのフレキシブルな生産体制の構築やバックアップサイトの確保など交渉力の強化に繋がると考えているとのことです。その結果として、事業上の競争力を高め、製造原価低減にも寄与すると考えているとのことです。

 

また、対象者は、本公開買付価格について、上記「②対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の協議・交渉を踏まえ、(ⅰ)下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」といいます。)における対象者株式の株式価値算定結果によれば、市場株価基準法、類似企業比較法及び類似取引比較法の上限を上回っており、DCF法の算定レンジの中央値を超えていること、(ⅱ)本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年5月2日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における対象者株式の基準日の終値5,230円に対して21.41%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値4,432円に対して43.28%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値4,482円に対して41.68%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値4,559円に対して39.28%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、本取引の類似事例(過去5年間(2020年5月3日から2025年5月2日)に公表され、2025年5月2日時点までに公開買付けが成立した第三者による東京証券取引所プライム市場又は東京証券取引所市場第一部に上場している会社に対する非公開化を前提とした公開買付けの事例(マネジメント・バイアウト(MBO)の事例を除きます。)34件)のプレミアム水準(公表日の前営業日の株価に対して中央値43.51%・平均値53.36%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値44.55%・平均値55.95%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値56.53%・平均値60.22%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値54.08%・平均値63.34%)と比較すると、前営業日の終値を参照する場合には、やや低い水準となっているものの、2025年4月28日から2025年5月2日までの3営業日という短期間のうちに、対象者株式の終値が4,340円から5,230円まで約20%上昇しており、対象者株式における当該3営業日の出来高が31万株から56万株と直近の平均的な出来高(2025年3月26日から2025年4月25日の出来高の平均)の約10万株から大きく増加していること、及び、当該3営業日において対象者による適時開示はなく、少なくとも対象者の特定の公表を反映しての株価の変動ではないこと等を踏まえると、当該3営業日における対象者株式の株価の上昇は一過性のものである可能性は否定できないことから、より中長期的な株価水準を考慮することに一定の合理性があると考えられ、本公開買付価格の過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム率は、類似事例におけるプレミアム水準の各期間の中央値と比較すると相応の水準と評価し得ることから、市場株価に対するプレミアム率の水準の観点からも本公開買付価格は不合理なものではないと考えられることに加え、対象者が2025年3月末日時点で保有する現金、現金同等物等及び投資有価証券の合計額は791億円であり、これらについては本来プレミアムが付されないことから、当該合計額の1株当たりの価値を除く調整を行った場合、1株当たりの調整後本公開買付価格は3,537円であり、当該価格は、公表日の前営業日の終値5,230円に同様の調整を行った価格2,417円に対して46.34%、過去1ヶ月間の終値単純平均値4,432円に同様の調整を行った価格1,619円に対して118.51%、過去3ヶ月間の終値単純平均値4,482円に同様の調整を行った1,669円に対して111.94%、過去6ヶ月間の終値単純平均値4,559円に同様の調整を行った1,746円に対して102.64%のプレミアムがそれぞれ付された価格となっており、十分な水準のプレミアムが付されているとも評価し得ること、(ⅲ)下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で十分な交渉を重ね、公開買付者より本公開買付価格の引き上げ余地がこれ以上存在しない旨複数回主張される水準まで引き上げられた経緯の下で決定された価格であること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、対象者の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断したとのことです。

 

以上より、対象者は、本日開催の対象者取締役会において、対象者の意見として、本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議したとのことです。

対象者取締役会における決議の方法については、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」をご参照ください。

 

③ 本公開買付け後の経営方針

公開買付者及び対象者は、上記「① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のシナジー効果を実現させるべく各経営施策を推進する予定です。

本取引実施後の対象者の役員体制につきましては、本日現在において公開買付者における具体的な役員体制にかかる想定はなく、未定ではありますが、今後対象者と協議の上、上記諸施策の実行や経営基盤の更なる強化に向けた最適な体制の構築を検討していく予定です。

 

(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

本日現在、対象者は公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは、支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、対象者経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。もっとも、公開買付者が対象者の親会社であり筆頭株主である日本たばこ産業との間で、①同社が所有する不応募合意株式について本公開買付けに応募しないこと、②本株式併合の実施に必要な対象者の株主総会に上程される議案に公開買付関係者が賛成の議決権を行使すること、③日本たばこ産業が本自己株式取得に応じて不応募合意株式を売却すること等を内容に含む本合意書を締結する予定であり、また、公開買付者が日本たばこ産業からJT医薬事業を譲り受ける予定であることから、日本たばこ産業と対象者の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があったこと、本公開買付けは対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的として行われる本取引の一環として実施されること等を考慮し、公開買付者及び対象者は、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保するため、以下の措置を講じております。

なお、本日現在、日本たばこ産業は、対象者株式15,398,800株(所有割合:54.78%)を所有しているため、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定しておりません。もっとも、公開買付者としては、公開買付者及び対象者において、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保するため、以下の措置を実施していることから、対象者の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。

なお、以下の記載のうち、対象者において実施した措置に関する記載については、対象者プレスリリース及び対象者から受けた説明に基づいております。

 

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、対象者及び公開買付関係者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月2日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得いたしました。なお、SMBC日興証券は、対象者及び公開買付関係者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。SMBC日興証券は、公開買付者グループ、対象者グループに対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を行っている株式会社三井住友銀行と同じ株式会社三井住友フィナンシャルグループの一員ですが、公開買付者は、SMBC日興証券の第三者算定機関としての実績に鑑み、かつ、SMBC日興証券によれば、弊害防止措置としてSMBC日興証券における対象者株式の株式価値の算定を実施する部署とその他の部署及び株式会社三井住友銀行との間で社内の規定に定める情報遮断措置が講じられていること、公開買付者とSMBC日興証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているためファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての独立性が確保されていること、SMBC日興証券は、公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せず、公開買付者がSMBC日興証券に対して対象者株式の株式価値の算定を依頼することに関し、特段の問題はないと考えられることを踏まえた上で、SMBC日興証券をファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に選任しております。また、公開買付者は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置を踏まえて、対象者の少数株主の利益に十分な配慮がなされていると考えていることから、SMBC日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

なお、公開買付者がSMBC日興証券から取得した本株式価値算定書の概要については、下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「① 算定の基礎」及び「② 算定の経緯」をご参照ください。

 

② 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(i)算定機関の名称並びに対象者及び公開買付関係者との関係

対象者は、公開買付関係者及び対象者のいずれからも独立した第三者算定機関として、みずほ証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月2日に、対象者株式価値算定書を取得したとのことです。みずほ証券は、公開買付関係者及び対象者のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。なお、みずほ証券は、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)と同じ株式会社みずほフィナンシャルグループの一員であり、みずほ銀行は、日本たばこ産業に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っておりますが、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有していないとのことです。また、みずほ証券は、法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で、対象者の株式価値の算定を行っているとのことです。対象者は、対象者の株式価値算定にあたり、みずほ証券において適切な利益相反管理体制が構築され、かつ実施されていると判断し、みずほ証券を第三者算定機関に選定したとのことです。なお、対象者は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置を踏まえると、対象者の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。また、本取引に係るみずほ証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているとのことですが、対象者は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合にも対象者に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等を勘案すれば、かかる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと判断しているとのことです。

 

(ii)算定の概要

みずほ証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準法を、比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社の市場価値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、類似取引事例の取引金額との比較において株式価値の類推が可能であることから類似取引比較法を、対象者の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、対象者株式の1株当たりの株式価値算定を行っているとのことです。

みずほ証券が上記の手法に基づいて算定した対象者株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。

 

市場株価基準法     :           4,432円から5,230円

類似企業比較法     :           3,318円から4,215円

類似取引比較法     :           4,144円から4,213円

DCF法                   :           4,979円から7,080円

市場株価基準法では、算定基準日を2025年5月2日として、東京証券取引所プライム市場における対象者株式の基準日終値5,230円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を4,432円から5,230円と算定しているとのことです。

類似企業比較法では、対象者と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を行い、対象者株式の1株当たりの価値の範囲を3,318円から4,215 円までと算定しているとのことです。

類似取引比較法では、対象者と比較的類似する過去に実施された製薬企業を対象とした取引の取引金額や収益性を示す財務指標との比較を行い、対象者株式の1株当たりの価値の範囲を4,144 円から4,213 円までと算定しているとのことです。

DCF法では、対象者が作成した2025年12月期から2033年12月期までの事業計画における収益予測及び投資計画を前提として、対象者が2025年4月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値及び株式価値を算定し、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を4,979円から7,080円と算定しているとのことです。

なお、DCF法による算定に用いた2025年12月期から2033年12月期までの対象者の事業計画には、営業損益及びフリー・キャッシュ・フローについて大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。

具体的には、2026年12月期について、上市に向けて開発品に係る研究開発費を予定していることから、営業利益は前年度比74.5%減少することが見込まれておりますが、前年度に発生を見込んでいる開発品に係る開発マイルストーンの支払がなくなることから、フリー・キャッシュ・フローは前年度マイナスからプラスになり、対前年度比で大幅な増加が見込まれているとのことです。2027年12月期について、前年度に予定している開発品に係る研究開発費が減少し、営業利益は前年度比584.2%増加、フリー・キャッシュ・フローは68.3%増加することが見込まれているとのことです。2028年12月期について、開発品に係る開発マイルストーンの支払を予定していることから、フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなる予定であり、対前年度比で大幅な減少が見込まれておりますが、2029年12月期は当該開発マイルストーンの支払がなくなる予定であることから、フリー・キャッシュ・フローはプラスとなる予定であり、対前年度比で大幅な増加が見込まれているとのことです。2030年12月期については開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、営業利益は対前年度比41.8%増加、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比56.2%増加が見込まれているとのことです。2031年12月期についても開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比41.4%増加することが見込まれているとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映していないとのことです。

みずほ証券は、対象者株式の株式価値の算定に際し、対象者から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていないとのことです。また、対象者及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。加えて、対象者の財務予測に関する情報については、対象者の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としているとのことです。また、当該財務予測については、本特別委員会が対象者との間で質疑応答を行うとともに、その内容や前提条件等の合理性を確認しているとのことです。

 

③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

対象者は、2024年8月9日開催の対象者取締役会において、対象者の取締役会が本取引について検討又は決議するにあたって、対象者の意思決定の恣意性及び利益相反のおそれを排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、藤田研一氏(対象者社外取締役(監査等委員)、株式会社GreenBridgeSolutions 代表取締役社長、株式会社K-BRIC&Associates代表取締役社長)、松村卓治氏(対象者社外取締役(監査等委員)、弁護士、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー、株式会社文化放送監査役、株式会社モスフードサービス社外監査役)及び真鍋美穂子氏(対象者社外取締役(監査等委員)、財務コンサルタント(個人事業主))の3名から構成される公開買付関係者及び対象者のいずれからも独立した本特別委員会を設置する旨を決議し、本特別委員会を同日設置したとのことです(なお、本特別委員会の委員の報酬については、固定額となっており、成功報酬は採用していないとのことです。また、対象者は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はないとのことです)。

対象者取締役会は、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否かを含みます。)、(ⅱ)本取引に係る取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含みます。)、(ⅲ)本取引係る手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。)、(ⅳ)本公開買付けについて対象者取締役会が賛同するべきか否か、及び、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否か、(ⅴ)本取引を行うことの決定(対象者取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見表明を行うこと及び対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含みます。)が対象者の一般株主(少数株主を含みます。)にとって不利益なものでないか(以下「本諮問事項」と総称します。)について諮問したとのことです。さらに、対象者取締役会は、本取引に関する重要な決定を行うに際して、本特別委員会の答申を最大限尊重しなければならず、本取引の条件等について本特別委員会が妥当でないと判断した場合には、対象者取締役会は本取引の実行を決定しない(本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしないことを含みます。)ことを併せて決議しているとのことです。

加えて、対象者取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)業務執行取締役等による本取引の検討について、必要な助言を行うことができる権限、(ⅱ)公開買付者との本取引に関する協議及び交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、本取引に関する協議及び交渉について意見を述べ、対象者取締役会に対して勧告や要請を行うことができ、また、必要に応じて法令上許容される範囲で公開買付者を含む第三者と直接協議・交渉を行うことができる権限、(ⅲ)対象者における本取引の検討、交渉及び判断を行う体制について、事前に方針を確認し、意見を述べ、又は勧告や要請を行うことができる権限、(ⅳ)業務執行取締役等に対し、本取引に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求めることができる権限並びに(ⅴ)本特別委員会の役割を果たすために必要な範囲で、自らのためのアドバイザー等を対象者の費用負担により選任すること、及び対象者のアドバイザー等を評価し、選任について意見し、又は承認(事後承認を含みます。)することができる権限を付与したとのことです。

本特別委員会は、2024年8月19日より2025年5月7日までの間に合計21回開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われたとのことです

具体的には、本特別委員会は、対象者の第三者算定機関及びファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券、並びに対象者のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、対象者の第三者算定機関及びファイナンシャル・アドバイザー並びにリーガル・アドバイザーとして承認し、また本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認したとのことです。

さらに、本特別委員会は、対象者が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことを確認の上、承認をしているとのことです。

その上で、本特別委員会は、長島・大野・常松法律事務所から特別委員会の設置が求められる背景、特別委員会の役割等について説明を受け、本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定にあたっての留意点等についての法的助言を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っているとのことです。

また、本特別委員会は、本取引に関する交渉の過程において、本取引の背景・経緯、本取引によって見込まれる企業価値向上効果の有無や本取引の意義・目的、本取引後の経営方針、本取引における諸条件等についての公開買付者の考えを確認することを含め、重要な交渉上の局面において対象者に対して意見を述べているとのことです。また、本特別委員会は、対象者に対して、本取引に係る公開買付者の提案内容を踏まえ、対象者の事業の状況、事業環境、経営課題、事業計画の内容、本取引の意義、本取引による企業価値向上効果の創出、対象者事業に対する影響等についての対象者としての意見を確認しているとのことです。

加えて、本特別委員会は、対象者から事業計画の作成経緯及び内容の説明を受け、事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について確認しているとのことです。その上で、上記「② 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、みずほ証券は、事業計画を前提として対象者株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、みずほ証券から、実施した対象者株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件(類似企業比較法における類似企業及びその選定理由その他の前提、DCF法における割引率(WACC)等のパラメータの数値、継続価値の算定方法及びその採用理由を含みます。)について説明を受け、質疑応答及び審議・検討を行った上で、その合理性を確認しているとのことです。

さらに、本特別委員会は、公開買付者から2024年10月2日に本公開買付価格等の初回の提案を受けて以降も、対象者や対象者のアドバイザーから都度報告を受け、本公開買付けの条件について意見を述べ、又は本特別委員会から直接公開買付者に対して返答書面を送付することにより、本公開買付価格を含む本取引に関する取引条件につき、交渉過程に実質的に関与しているとのことです。

本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年5月7日、対象者取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする2025年5月7日付答申書(以下「本答申書」といいます。)を提出しているとのことです。

 

(a)            答申内容

本特別委員会は、特別委員全員の一致により、本諮問事項に関して以下の意見を答申する。

 

(i)       本取引は対象者の企業価値の向上に資するものであり、正当かつ合理的なものであると認められる。

(ii)      本公開買付けにおける本公開買付価格その他の本取引に係る条件は妥当であると認められる。

(iii)    本取引に係る手続においては十分な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正なものであると認められる。

(iv)    対象者取締役会は、本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、対象者株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議すべきである。

(v)      本取引を行うことは対象者の一般株主(少数株主を含む。)にとって不利益なものではない。

 

(b)            答申理由

1.  本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否かの検討

(1)          公開買付者の見解

本特別委員会が公開買付者に対して行った本取引に関する質問に対する回答及び公開買付者が作成した公開買付届出書のドラフトによれば、公開買付者の考える本取引の意義・目的及び本取引により期待されるシナジーの概要は以下のとおりとのことである。

 

ア 公開買付者による本取引の検討の背景

公開買付者は、「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」ことを基本方針(SHIONOGI Group Heritage)として、世界中の患者さまや社会の抱える困りごとをより包括的に解決するために、医療用医薬品の提供に留まらずに、顧客の皆さまのニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」への変革を進めている。2020年に、2030年に成し遂げたいVision(SHIONOGI Group Vision)として「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことを掲げ、そのVisionを実現するための戦略として中期経営計画「SHIONOGI Transformation Strategy 2030(STS2030)」を策定し、公開買付者グループ一丸となって取り組みを進めてきた。2020年度から2022年度までの3年間は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるパンデミックの早期終息を目指して、治療薬の提供に留まらずCOVID-19のトータルケアの実現に向けて、検知(流行予測)、予防、診断、重症化抑制といった各ソリューションの提供に取り組んできた。その結果として、COVID-19治療薬「ゾコーバ」については、一般的に、医療用医薬品では研究開発の開始から国内での承認取得までに、9~16年程度の期間を要するところ、研究開発の開始から約3年というこれまでとは全く異なるスピードで国内での通常承認を取得するなど、創薬力を進化させてきた。また、公開買付者グループ初となるワクチンや下水疫学調査サービスなど医療用医薬品以外の製品やサービスを拡大させることができた。これらの取り組みから得た成果や学びをもとに、SHIONOGI Group Visionの実現に向けた道筋がより明確になったことから、2023年にSTS2030を改訂し、STS2030 Revisionとして新たなスタートを切った。従来のSTS2030では、2020年度を起点とする2024年度までの5年間をSTS Phase1、以降2030年度までをSTS Phase2と位置付けていたが、STS2030 Revisionでは、2023年度から2025年度の3年間を新たにSTS Phase2と位置付け、「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現すること」を基本方針として、変革による成長を加速させている。

公開買付者は、上記のSTS2030 Revisionの取り組みの中で、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」というビジョンの実現のために、JT医薬事業及び対象者との協業に関して検討を2024年初頭より進めてきた。検討の結果、公開買付者によるJT医薬事業の譲受及び対象者の完全子会社化は当該ビジョン実現に大きく貢献するとの判断に至った。

 

イ 本取引により公開買付者が期待するシナジー

①    国内事業の強化

公開買付者は基本方針である「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」を実現するため、適正な情報提供活動を推進している。本取引後は、診療科、施設に対する公開買付者と対象者の異なる強みが統合され、情報提供の範囲が広がり、かつ医師のニーズにあった適切な情報提供が実現することで、特に一定のシェア オブ ボイスを必要とする製品においては価値最大化の観点でのシナジー効果が発揮されるものと考えている。具体的には、公開買付者はCOVID-19、インフルエンザに対する抗ウイルス薬の情報提供を推進しているが、さらに多くの医師に適正使用情報をお届けする必要性を感じているところ、対象者が強い営業力を持つ皮膚科、小児科及び耳鼻科における情報提供が加わることで、ますます多くの患者さまに抗ウイルス薬をお役立ていただけるものと考えている。他方、対象者のコレクチムなどの皮膚科領域の製品を公開買付者リソースにより、皮膚科以外(例えば内科、整形外科等)の診療科における情報提供活動の強化を実現できるものと考えている。また一人の医師に複数の製品をお届けすることが可能となり、情報提供の幅が広がることで、顧客満足の向上、営業活動の効率化にも寄与できると考えている。また、将来的には、両社の開発パイプラインにおいても公開買付者の有する高い研究開発力と対象者の有する強い営業力を活かした開発/販売戦略が構築できるものと考えている。

②    グローバル展開の加速

公開買付者は米国・欧州を中心に、グローバル開発機能及び販売網を有しており、今後も海外における開発、薬事機能、自社販売の強化やグループ全体のグローバル化を進めていく。公開買付者は、現在、対象者はJT医薬事業と共同で国内開発にも従事していると理解しているが、本取引の実施を通じて、対象者の将来の開発パイプラインについてグローバル展開の可能性が高まり、国内外での研究開発・販売データの収集及び評価を積み重ねることで販売強化に繋がると考えている。また、対象者が積極的に取り組んでいる導入品候補の探索活動及び事業投資活動においても、公開買付者のネットワークや専門知識を有している人材を活かすことでさらに効率的かつ有効な活動が展開できると考えている。

③    柔軟な製造/販売体制の実現

公開買付者は製造部門としてシオノギファーマ株式会社を有しており、自社の製造施設にて医薬品の製造を行うことを原則とし、グローバルサプライチェーン構築を充実させてきている。公開買付者としては、昨今、地政学的な問題、多企業での品質問題、欠品・限定出荷の増加等、サプライチェーンのボラティリティが高まっており、為替影響や原材料の高騰など原価のコントロールも厳しさを増していると認識している。公開買付者としては、そのような環境下において、JT医薬事業や対象者の医薬品についても公開買付者の有する、上記の公開買付者にて医薬品の製造やグローバルサプライチェーン構築を実現できているといったケイパビリティを活用し、公開買付者の製造施設を活用することで、製品の増産などのフレキシブルな生産体制を自社において確立することができ、公開買付者の有するバックアップサイトを確保することでJT医薬事業や対象者の医薬品の交渉力の強化に繋がると考えている。その結果として、事業上の競争力を高め、製造原価低減にも寄与すると考えている。

 

(2)          対象者経営陣の見解

ア 本取引において期待されるシナジー

本特別委員会が実施したヒアリング等で聴取した対象者担当者からの説明その他本特別委員会の審議の過程における説明によれば、対象者が本取引において期待しているシナジーは以下のとおりとのことである。

 

①    国内事業の強化

公開買付者が認識しているとおり、診療科、施設に対する公開買付者と対象者の異なる強みが統合され、情報提供の範囲が広がり、かつ医師のニーズにあった適切な情報提供が実現することで、特に一定のシェア オブ ボイスを必要とする製品においては価値最大化の観点でのシナジー効果が発揮されるものと考えている。具体的には、公開買付者はCOVID-19、インフルエンザに対する抗ウイルス薬の情報提供を推進しているが、さらに多くの医師に適正使用情報をお届けする必要性を感じているところ、対象者が強い営業力を持つ皮膚科、小児科及び耳鼻科における情報提供が加わることで、ますます多くの患者さまに抗ウイルス薬を役立ていただけるものと考えている。他方、対象者のコレクチムなどの皮膚科領域の製品を公開買付者リソースにより、皮膚科以外(例えば内科、整形外科等)の診療科における情報提供活動の強化を実現できるものと考えている。また一人の医師に複数の製品をお届けすることが可能となり、情報提供の幅が広がることで、顧客満足の向上、営業活動の効率化にも寄与できると考えている。また、将来的には、両社の開発パイプラインにおいても公開買付者の有する高い研究開発力と対象者の有する強い営業力を活かした開発/販売戦略が構築できるものと考えている。

②    グローバル展開の加速

公開買付者は米国・欧州を中心に、グローバル開発機能及び販売網を有しており、今後も海外における開発、薬事機能、自社販売の強化やグループ全体のグローバル化を進めている一方、現在、対象者はJT医薬事業と共同で国内開発を主体としている。本取引の実施を通じて、対象者の将来の開発パイプラインについてグローバル展開の可能性が高まり、国内外での研究開発・販売データの収集及び評価を積み重ねることで販売強化に繋がると考えている。また、対象者が積極的に取り組んでいる導入品候補の探索活動及び事業投資活動においても、公開買付者のネットワークや専門知識を有している人材を活かすことでさらに効率的かつ有効な活動が展開できると考えている。

③    柔軟な製造/販売体制の実現

対象者は、2020年より製造機能を保有しておらず、製造は全て外部に委託しており、また、海外からの導入品に関しては、大部分が導出元の製造した製品を輸入している。そのため、公開買付者の認識しているとおり、公開買付者が保有する製造部門としてシオノギファーマ株式会社を利用し、一部製造を当該製造部門に委託することにより、地政学的な問題、多企業での品質問題、欠品・限定出荷の増加等、サプライチェーンのボラティリティに対応できる可能性があり、今後、製品の増産などのフレキシブルな生産体制の構築やバックアップサイトの確保など交渉力の強化に繋がると考えている。その結果として、事業上の競争力を高め、製造原価低減にも寄与すると考えている。

 

イ 本取引により生じうるデメリット

本特別委員会が実施したヒアリング等で聴取した対象者担当者からの説明その他本特別委員会の審議の過程における説明によれば、本取引に伴う非公開化によって、人材採用や取引先からの信用に一定のデメリットが生じる可能性や本取引後の対象者の拠点や人員配置のあり方によっては従業員が離職する可能性が考えられるとのことである。また、本取引に伴い、これまで公開買付者と対象者が競合する関係にあった舌下免疫療法に関連する製品について、対象者の事業上重要なパートナーとの関係性に何らかの影響が生じる可能性も考えられるとのことである。

 

(3)          本特別委員会の見解

以上を踏まえて、本特別委員会において慎重に審議・検討をしたところ、本取引により期待されるシナジーについての公開買付者及び対象者の説明は一定の具体性を有しており、合理的な説明であると認められる。

上記(2)イのとおり、本取引によりデメリットが生じる可能性は否定できないものの、株式の非公開化に伴い想定される人材採用の難化や取引先からの信用の低下等の一般的なデメリットについては、対象者が長年の事業活動により培った採用市場における優位性や社会的信用性は上場廃止により失われるものではなく、また、本取引後は、公開買付者と一体的な人材採用を行うことや、公開買付者グループの一員として取引先からの信用を維持することも可能であると考えられるため、リスクは限定的であると考えられる。さらに、公開買付者からは、本取引後の対象者の拠点や人員配置のあり方については個々の従業員の豊かな生活や自己実現、公平性といった観点からも十分に検討し、従業員の離職によりビジネスに悪影響が生じないよう、最適な人員配置を検討していく方針であるといった回答を得ている。

また、舌下免疫療法に関連する製品に係る対象者の事業上重要なパートナーとの関係性については、①公開買付者における舌下免疫療法に関連する製品に係る事業については既に終了をすることとなっており、対象者の事業上重要なパートナーとの関係性に影響を与えないよう一定の措置が講じられ又は講じられる予定であること、②公開買付者としては、対象者の舌下免疫療法に関連する製品については本取引実行後も注力する予定であること、③本取引実行後に対象者が公開買付者の傘下に入った後も同製品に関する事業を継続する上で法的障害が生じないよう公開買付者によって一定の措置が講じられ又は講じられる予定となっていることを公開買付者から説明を受けており、重大な懸念点は存在しない。

このように本取引を実行することによるデメリットに対しては合理的な措置や説明がなされており、重大な懸念が存在するとまではいえない一方、本取引を実行することでそのようなデメリットを上回るシナジーの発現を期待することができ、本取引は対象者の企業価値向上に資するものであるとの判断に違和感はない。

 

2.  本取引の取引条件の妥当性の検討

(1)          本公開買付価格の妥当性

a.    事業計画の策定手続及び内容

対象者は、対象者及び公開買付者のいずれからも独立した第三者算定機関としてみずほ証券に対象者の株式価値の算定を依頼し、2025年5月2日付で、対象者株式価値算定書を受領している。

対象者株式価値算定書は、対象者経営陣が対象者の業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して作成し、本特別委員会において承認され、その後、通期決算、開発品の開発状況の更新等対象者の事業環境の変動を踏まえて必要に応じた見直しを行い、当該見直しについて本特別委員会に報告された2025年12月期から2033年12月期までの事業計画(以下、本項において「本事業計画」といいます。)に基づく財務予測を算定の前提としている。本特別委員会は、本事業計画の承認にあたり、対象者経営陣の本特別委員会に対する説明及び本特別委員会との質疑応答に基づき、本事業計画の策定経緯に公正性を疑うべき事情は存在せず、その内容に不合理な点は見受けられないものと判断している。

 

b.    算定結果の検討

対象者株式価値算定書の内容に関するみずほ証券の本特別委員会に対する説明及び本特別委員会との質疑応答に基づけば、(i)みずほ証券が採用した株式価値の算定手法は、非公開化取引における株式価値算定において一般的に利用されている算定手法であり、各算定手法の採用理由に不合理な点は認められず、また、(ii)みずほ証券による算定内容の合理性についても不合理な点は認められない。したがって、本特別委員会は、対象者株式の株式価値の評価にあたり、対象者株式価値算定書に依拠することができるものと判断している。

対象者株式価値算定書における対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりである。対象者株式価値算定書に付されている、その作成並びにその基礎となる評価分析に関する前提条件及び留意事項については、下記(注)のとおりである。

 

市場株価基準法                     :           4,432円~5,230円

類似企業比較法                     :           3,318円~4,215円

類似取引比較法                     :           4,144円~4,213円

DCF法                                  :           4,979円~7,080円

 

(注)みずほ証券は、対象者株式の株式価値の算定に際し、対象者から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていない。また、対象者及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含む。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていない。加えて、対象者の財務予測に関する情報については、対象者の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としている。

 

本公開買付価格(対象者株式1株当たり6,350円)は、対象者株式価値算定書における対象者株式の価値算定結果のうち、市場株価基準法、類似企業比較法及び類似取引比較法の上限を上回っており、DCF法の算定レンジの中央値を超えている。

 

c.    プレミアムの分析

本公開買付価格は、本答申書作成日(2025年5月7日)の前営業日である2025年5月2日の東京証券取引所における対象者株式の終値5,230円に対して21%(小数点以下四捨五入。以下、本項におけるプレミアム率の計算において同じです。)、過去1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円に対して43%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円に対して42%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円に対して39%のプレミアム率をそれぞれ加えた価格となっている。

これは本取引の類似事例(過去5年間(2020年5月3日から2025年5月2日)に公表され、2025年5月2日時点までに公開買付けが成立した第三者による東京証券取引所プライム市場又は東京証券取引所市場第一部に上場している会社に対する非公開化を前提とした公開買付けの事例(マネジメント・バイアウト(MBO)の事例を除く。)34件)のプレミアム水準(公表日の前営業日の株価に対して中央値44%・平均値53%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値45%・平均値56%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値57%・平均値60%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値54%・平均値63%)と比較すると、前営業日の終値を参照する場合にはやや低い水準となっている。もっとも、2025年4月28日から2025年5月2日までの3営業日という短期間のうちに、対象者株式の終値が4,340円から5,230円まで約20%上昇しており、(i)対象者株式における当該3営業日の出来高が31万株から56万株と直近の平均的な出来高(2025年3月26日から2025年4月25日の出来高の平均)の約10万株から大きく増加していること、及び、(ii)当該3営業日において対象者による適時開示はなく、少なくとも対象者の特定の公表を反映しての株価の変動ではないこと等を踏まえると、当該3営業日における対象者株式の株価の上昇は一過性のものである可能性は否定できないことから、より中長期的な株価水準を考慮することに一定の合理性があると考えられ、本公開買付価格の過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム率は、類似事例におけるプレミアム水準の各期間の中央値と比較すると相応の水準と評価し得ることから、市場株価に対するプレミアム率の水準の観点からも本公開買付価格は不合理なものではないと考えられる。

また、対象者が2025年3月末日時点で保有する現金、現金同等物等及び投資有価証券の合計額は791億円であり、これらについては本来プレミアムが付されないことから、当該合計額の1株当たりの価値を除く調整を行った場合、1株当たりの調整後本公開買付価格は3,537円であり、当該価格は公表日の前営業日の終値5,230円に同様の調整を行った価格2,417円に対して46%、過去1ヶ月間の終値単純平均値4,432円に同様の調整を行った価格1,619円に対して119%、過去3ヶ月間の終値単純平均値4,482円に同様の調整を行った1,669円に対して112%、過去6ヶ月間の終値単純平均値4,559円に同様の調整を行った1,746円に対して103%のプレミアムがそれぞれ付された価格となっており、十分な水準のプレミアムが付されているとも評価し得る。

 

d.    本公開買付価格の交渉経緯

対象者は、2024年10月2日に公開買付者から本公開買付価格を1株当たり5,878円とする提案を受領した。

本特別委員会は、2024年9月30日に開催された第7回特別委員会において、みずほ証券から対象者株式に係る株式価値の算定結果の中間報告を受けており、2024年10月7日に開催された第8回特別委員会及び2024年10月15日に開催された第9回特別委員会において、当該算定結果も踏まえて、公開買付者の提案価格は、本取引と類似した事例と比較すると、およそ同程度のプレミアムが付されていると認識しており、一定の評価をするものの、①プレミアムは価値評価そのものではなく、類似事例の数値から統計値等を計算して比較しているに過ぎないと考えられること、②本取引は本自己株式取得による税務メリットを利用することで少数株主に対して高い公開買付価格を提示可能であるところ、当該税務メリットを利用しない場合と比較して必然的にプレミアムが高くなることを踏まえれば、本取引はプレミアムの多寡のみで判断すべきでなく、対象者株式について正当な価値評価がなされているかで判断すべきであること、③対象者の事業計画に基づいた今後の成長性を踏まえれば、当該公開買付価格は著しく低いこと、④本取引の具体的なシナジー効果を想定した上で、実現可能性を加味し、定量化し企業価値に反映すべきこと、以上の理由から、本公開買付価格の引上げの要請をすべきであり、少数株主利益の最大化のため、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。

その後、本特別委員会は、2024年10月15日付レターにて、本公開買付価格の引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2024年10月28日付レターにて、本公開買付価格を6,062円に引き上げる旨の回答を受領した。

これを受け、本特別委員会は、2024年11月5日に開催された第12回特別委員会及び2024年11月11日に開催された第13回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、対象者の本源的価値を100%表した価額とは到底言えず、上値の余地が存在するものと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、いまだ十分な水準にあると評価できないものと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請をすべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。

その後、本特別委員会は、2024年11月11日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年4月11日付レターにて、本公開買付価格を6,181円に引き上げる旨の回答を受領した。

これを受け、本特別委員会は、2025年4月15日に開催された第17回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、依然として対象者の本源的価値として十分な価額を表したものではないと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、より高い価格の提示が可能と考えていること、上記提案価格における公開買付価格から算出されるプレミアムは、過去1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月における終値の単純平均株価対比ではいずれも30%台に留まっており、同種の過去事例と比較して充分な水準にあると評価・判断することは困難であることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請をすべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。

その後、本特別委員会は、2025年4月15日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年4月18日付レターにて、本公開買付価格を6,283円に引き上げる旨の回答を受領した。

これを受け、本特別委員会は、2025年4月21日に開催された第18回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、これまでの主張に基づいて、一定の配慮がなされたものと判断する一方で、事業計画に基づき本源的価値を充分に評価するか、若しくは期待されるシナジー効果額を織り込む等することにより、株式価値をより高く評価することで、公開買付価格をより高くする余地は依然として存在するのではないかと考えていること、また、市場株価に対するプレミアム率に関しても、足元の株価水準に鑑みれば、必ずしも充分と言える水準ではないと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請をすべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。

その後、本特別委員会は、2025年4月21日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年4月26日付レターにて、本公開買付価格を6,326円に引き上げる旨及びこれ以上の経済条件の引き上げは予定していない旨の回答を受領した。これを受け、本特別委員会は、2025年4月28日に開催された第19回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、第4回提案における提案価格から引き上がっているものの、小幅に留まっており、依然として一般株主に必ずしも十分な配慮がなされた水準ではないと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げを要請すべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。

その後、本特別委員会は、2025年4月28日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年5月1日付レターにて、本公開買付価格を6,350円に引き上げる旨及びこれ以上の経済条件の引き上げは予定していない旨の回答を受領した。

以上の交渉経緯からして、本特別委員会は、本公開買付価格6,350円は、これ以上交渉を継続しても引き上げの余地のない公開買付者からの最終提案価格であると判断した。

 

以上からすれば、本公開買付価格は、対象者が、公開買付者との間で、株主にとってできる限り有利な取引条件で買収が行われることを目指して、真摯な交渉の結果決定されたものと認められる。

 

e.    小括

以上の検討によれば、(i)本公開買付価格は、対象者株式価値算定書における対象者株式の価値算定結果のうち、市場株価基準法、類似企業比較法及び類似取引比較法の上限を上回っており、DCF法の算定レンジの中央値を超えていること、(ii)(a)本公開買付価格の本答申書作成日(2025年5月7日)の前営業日の終値に対するプレミアム水準は、類似事例におけるプレミアム水準と比較すると、やや低い水準となっているものの、直近の対象者株式の株価の上昇は一過性のものである可能性が否定できず中長期的な株価水準を考慮することに一定の合理性があると考えられ、本公開買付価格の過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、類似事例におけるプレミアム水準の各期間の中央値と比較すると相応の水準と評価し得ること、(b)対象者が2025年3月末日時点で保有する現金、現金同等物等及び投資有価証券の合計額は791億円であり、これらについては本来プレミアムが付されないことから、当該合計額の1株当たりの価値を除く調整を行った1株当たりの本公開買付価格を基準にプレミアムを検討した場合、十分な水準のプレミアムが付されているとも評価し得ることに鑑みると、本公開買付価格のプレミアムの水準は不合理なものではないと考えられること、(iii)本公開買付価格は、対象者と公開買付者との間で、真摯な交渉の結果決定されたものと認められることを踏まえると、本公開買付価格は公正かつ妥当であると評価できる。

 

(2)          スキームの妥当性

本取引において採用されている、一段階目として、本公開買付け後に公開買付者及び日本たばこ産業が合計で対象者の総議決権数の3分の2以上を取得することとなる株式数を買付予定数の下限に設定して公開買付けを行い、二段階目として、対象者の株主を公開買付者及び日本たばこ産業のみとするための株式併合によるスクイーズアウトを実行し、当該株式併合の効力発生後に本自己株式取得を行うというスキームは、親会社が存在する上場会社の非公開化の手法として比較的一般的に採用されている方法であり、公開買付価格に不満のある対象者株主は、株式併合の過程で裁判所に対する価格決定の申立てが可能である。

さらに、本自己株式取得においては、日本たばこ産業において、法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、本自己株式取得の取得価格を、仮に日本たばこ産業が本公開買付けに応募した場合に得られる税引後手取り額と本自己株式取得に応じた場合の税引後手取り額が同等となる金額を基準として設定しつつ本自己株式取得の取得価格を抑え、対象者の少数株主の皆様への配分をより多くすることで、本公開買付価格の最大化と株主間の公正性を両立させることを目的に実施するものと説明を受けている。したがって、本取引において、本自己株式取得が行われるからといって、対象者少数株主の犠牲のもとに、日本たばこ産業が不当に利益を得るものではなく、むしろ対象者の一般株主の利益に資するものと考えられる。

また、本取引に伴い公開買付者によるJT医薬事業の本吸収分割による譲受が予定されているが、本吸収分割は、公開買付価格の均一性の趣旨に抵触しないよう、公開買付者及び日本たばこ産業の間において、対象者及び公開買付者の間の本取引とは別個の独立した取引として検討・交渉され、当該吸収分割の対価はJT医薬事業の事業価値を基に算出されたものであることを公開買付者及び日本たばこ産業からの回答等により確認している。また、本公開買付価格に係る交渉は当初から一貫して対象者と公開買付者との間で行われており、この交渉に日本たばこ産業は関与していない。これらを踏まえると、本吸収分割の取引条件が本公開買付価格を含む本公開買付けの取引条件に不当な影響を及ぼしたとは考えられない。

加えて、下記3.(7)のとおり、本公開買付けにおいては強圧性が排除されていることも踏まえて、本特別委員会として、本取引のスキームに不合理な点は認められず、妥当であると認める。

 

(3)          小括

以上のとおり、(i)本公開買付価格及びスクイーズアウト手続において対象者株主に交付される対価のいずれについても、第三者算定機関による対象者株式の価値算定結果との比較及び過去の類似取引におけるプレミアム水準との比較や交渉の経緯の観点から、妥当であると考えられること、及び(ii)本取引のスキームは妥当であると認められることから、本取引の取引条件は公正かつ妥当な条件であると認める。

 

3.  本取引の検討手続の公正性の検討

(1)          対象者における独立した特別委員会の設置等

対象者は、2024年8月9日付の対象者取締役会決議により、本特別委員会を設置した。本特別委員会の設置に先立って、対象者は、2024年8月上旬から、長島・大野・常松法律事務所の助言も得て、公開買付者との間で重要な利害関係を有しない対象者の独立社外取締役に対して、本取引に係る検討・交渉等を行うにあたっては、本特別委員会の設置をはじめとする本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置を十分に講じる必要がある旨等を個別に説明するとともに、本取引においては潜在的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応するために手続の公正性を十分に確保する必要がある旨、並びに本特別委員会の役割等についての説明及び質疑応答を行っていた。また、対象者は、並行して、長島・大野・常松法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補となる対象者の独立社外取締役の独立性及び適格性等について確認を行うとともに、公開買付者との間で重要な利害関係を有していないこと、及び本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことについても確認を行った上で、対象者の独立社外取締役との間で、長島・大野・常松法律事務所の助言を得つつ、協議した結果、異議がない旨が確認されたことから、藤田研一氏(対象者社外取締役(監査等委員)、株式会社GreenBridgeSolutions 代表取締役社長、株式会社K-BRIC&Associates代表取締役社長)、松村卓治氏(対象者社外取締役(監査等委員)、弁護士、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー、株式会社文化放送監査役、株式会社モスフードサービス社外監査役)及び真鍋美穂子氏(対象者社外取締役(監査等委員)、財務コンサルタント(個人事業主))の3名を本特別委員会の委員の候補として選定した(なお、本特別委員会の委員長には対象者の社外取締役(監査等委員)である藤田研一氏が就任しており、本特別委員会の委員は設置当初から変更していない。)。

また、対象者は、上記取締役会決議において、対象者取締役会において本取引に関する重要な決定を行うに際しては、本特別委員会の答申を最大限尊重し、本取引の取引条件について本特別委員会が妥当でないと判断した場合には、対象者取締役会は、本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしない旨を決議している。あわせて、対象者は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)業務執行取締役等による本取引の検討について、必要な助言を行う権限、(b)公開買付者との本取引に関する協議及び交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、本取引に関する協議及び交渉について意見を述べ、対象者取締役会に対して勧告や要請を行い、また、必要に応じて法令上許容される範囲で公開買付者を含む第三者と直接協議・交渉を行う権限、(c)業務執行取締役等に対し、本取引に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求める権限、(d)その役割を果たすために必要な範囲で、自らのためのアドバイザー等を対象者の費用負担により選任する権限、及び対象者のアドバイザー等を評価し、選任について意見し、又は承認(事後承認を含む。)する権限を付与した。また、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、社外取締役としての報酬とは別に、固定額の報酬を支払うものとされており、本取引の成否に利害関係を有しない仕組みとしている。

なお、上記の対象者取締役会決議においては、対象者の取締役5名にて審議の上、その全員一致により上記の決議を行っている。

このように、本特別委員会は、対象者において独立した特別委員会であり、本取引の検討手続において有効に機能するための権限を付与され、実際に有効に機能したと考えられる。特に公開買付者との価格交渉の場面においては、対象者が公開買付者と本公開買付価格について協議する際には、事前に本特別委員会に確認を求めており、これにより、本特別委員会は、適時に交渉状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行い、又は自ら公開買付者に対して返答書面を送付することによって、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保しており、また、本取引の意義目的の確認及び本取引により生じうるデメリットに関しては、対象者経営陣及び公開買付者にインタビューを実施するなど、自ら一般株主に代わり、本取引に関する非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行っている。

 

(2)          対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

対象者は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、上記2.(1)a.のとおり、みずほ証券から対象者株式価値算定書を取得している。なお、本取引に係るみずほ証券の報酬には、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬に加えて、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているが、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合にも対象者に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等を勘案すれば、かかる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと考えられる。なお、対象者は、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する評価(フェアネス・オピニオン)を取得していないが、本取引の検討のためにとられた公正担保措置等を踏まえると、対象者の少数株主の利益には十分な配慮がなされており、手続の公正性に疑義を生じさせるものではないと考えられる。

 

(3)          対象者における独立したファイナンシャル・アドバイザーからの助言

対象者は、本取引に関する対象者取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、対象者及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引に係る対象者の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む財務的見地からの助言を受けた。

なお、みずほ証券の説明によれば、みずほ証券は、対象者、公開買付者及び日本たばこ産業の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことである。

 

(4)          対象者における独立したリーガル・アドバイザーからの助言

対象者は、本取引に関する対象者取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、対象者及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引に係る対象者の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けた。

なお、長島・大野・常松法律事務所の説明によれば、長島・大野・常松法律事務所は、対象者、公開買付者及び日本たばこ産業の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことである。また、長島・大野・常松法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていない。

 

(5)          対象者における独立した検討体制の構築

対象者は、本取引に係る潜在的な利益相反のおそれを排除する観点から、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を対象者の社内に構築した。

具体的には、対象者は、2024年8月6日に公開買付者から本公開買付けに関する初期的打診を受領した時点以降、対象者及び公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程において、潜在的な利益相反のおそれを排除する観点から、日本たばこ産業の役職員を兼任若しくは兼務する対象者の役職員を関与させないこととし、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を対象者の社内に構築した。

かかる本取引の検討体制については、独立性及び公正性の観点から本特別委員会の意見も確認しながら構築したものである。

 

(6)          公開買付期間

本公開買付けにおいて、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)は30営業日とされており、少数株主を含む対象者株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による対象者株式に対する買付け等の機会は確保されている。

 

(7)          強圧性の排除

本取引においては、一段階目として行われる本公開買付けにおいて、買付予定数の下限は、本公開買付け成立後に公開買付者が対象者の総議決権数の3分の2以上を所有することとなるように設定されていることで、本公開買付けが成立した場合、成立後のスクイーズアウトが確実に実行できるスキームになっている。また、本取引におけるスクイーズアウト手続において、スクイーズアウトされる対象者株主に対価として交付される金銭は、本公開買付価格に当該各株主の所有する対象者株式の数を乗じた価格と同一となるように算定される予定であり、その旨が本公開買付けの開始に際して公表される予定である。したがって、少数株主を含む対象者株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮されていると認められる。

 

(8)          取引保護条項の不存在

対象者及び公開買付者は、対象者が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項等を含む合意等、対抗的買収提案者が対象者との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮していると認められる。

 

(9)          小括

上記(1)乃至(8)のとおり、本取引の検討に際しては上記の各公正性担保措置が講じられていることから、本取引の検討に際して公正な手続が実施されており、これを通じた対象者株主の利益への十分な配慮がなされているものと認められる。

なお、日本たばこ産業が所有する対象者株式の合計は15,398,800株(所有割合:54.78%)であるため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する対象者の少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないことについて、本特別委員会は、他の公正性担保措置が十分に講じられていると解されること等に鑑みると、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる旨判断している。

 

4.  総括

上記1乃至3のとおり、本公開買付けは、対象者の企業価値向上に資すると考えられ、その取引条件も妥当であり、公正な手続も実施されている。そこで、本特別委員会は、対象者は本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、対象者株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議すべきであり、本取引は対象者の一般株主(少数株主を含む。)にとって不利益なものではないと判断する。

 

④ 対象者における独立した法律事務所からの助言

対象者は、本取引に係る対象者取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を担保するために、公開買付関係者及び対象者のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして、長島・大野・常松法律事務所を選任し、本公開買付けに関する対象者取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けているとのことです。

なお、長島・大野・常松法律事務所は、公開買付関係者及び対象者のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、長島・大野・常松法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていないとのことです。

 

⑤ 対象者における独立した検討体制の構築

上記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者は、公開買付関係者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を対象者の社内に構築したとのことです。

具体的には、対象者は、2024年8月6日に本取引の実施に向けた検討を開始したい旨の打診を受けた後、本取引に関する検討(対象者の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者及び日本たばこ産業との協議及び交渉を行うプロジェクトチーム(松田剛一(前)代表取締役社長、近藤紳雅(現)代表取締役社長を含む役職員8名)を設置し、そのメンバーは、日本たばこ産業のグループ(対象者を除きます。)各社の役職員を兼務していない対象者の役職員のみから構成されるものとし、かかる取扱いを継続しているとのことです。松田剛一(前)代表取締役社長は、2025年3月27日付で代表取締役を退任したことに伴い、プロジェクトチームから外れているとのことです。

なお、松田剛一(前)代表取締役社長及び近藤紳雅(現)代表取締役社長は、いずれも過去に日本たばこ産業に在籍していた期間があるものの、日本たばこ産業が本取引の検討を開始するよりも前の時点において、日本たばこ産業から転籍(松田剛一(前)代表取締役社長は2017年3月に、近藤紳雅(現)代表取締役社長は2019年3月にそれぞれ対象者に転籍)しており、現在は日本たばこ産業の役職員を兼務しておらず、転籍後に日本たばこ産業から指示を受ける立場にないこと、また、本取引に関して、日本たばこ産業の検討過程に一切の関与をしておらず、それができる立場にもないことから、本取引における対象者の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、プロジェクトチームに参加しているとのことです。

また、かかる取扱いを含めて、対象者の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ているとのことです。

 

⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認

対象者は、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言及び対象者株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関して、対象者の企業価値向上、本取引に関する諸条件の妥当性等の観点から慎重に協議及び検討を行ったとのことです。

その結果、上記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者は、本公開買付けを含む本取引は対象者企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格は妥当性を有し、対象者の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、本日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。

なお、上記「⑤ 対象者における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、対象者の取締役のうち、近藤紳雅代表取締役社長は、過去に日本たばこ産業に在籍していた期間があるものの、日本たばこ産業が本取引の検討を開始するよりも前の時点(2019年3月)において、日本たばこ産業から転籍しており、現在は日本たばこ産業の役職員を兼務しておらず、転籍後に日本たばこ産業から指示を受ける立場にないこと、また、本取引に関して、日本たばこ産業の検討過程に一切の関与をしておらず、それができる立場にもないことから、本取引における対象者の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、本取引の検討に関する議題の審議及び決議に参加しているとのことです。

 

⑦ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

公開買付者は、法令に定められた公開買付けの最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しております。このように公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、対象者の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、対象者株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図しております。

また、公開買付者と対象者は、対象者が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が対象者との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。

 

(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

公開買付者は、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、対象者を最終的に公開買付者の完全子会社とする方針であり、本公開買付けにおいて、本公開買付対象株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、対象者において以下のとおり、対象者の株主を公開買付関係者のみとするための一連の手続を実施することを予定しています。

 

具体的には、本公開買付けの決済の完了後、公開買付関係者は、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を速やかに開催することを対象者に要請する予定であり、また、公開買付関係者は、対象者の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましいと考えていることから、本公開買付けの決済の開始後の近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、対象者に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定です。本臨時株主総会の開催時期は現時点で未定ですが、本日現在、2025年8月上旬の開催を予定しております。対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者からかかる要請を受けた場合には、かかる要請に応じる予定とのことです。なお、公開買付関係者は本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定です。

本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、対象者の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた対象者の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する対象者株式を公開買付者又は対象者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の結果、端数が生じた対象者の株主の皆様に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを対象者に要請する予定です。また、対象者株式の併合の割合は、本日現在において未定ですが、公開買付関係者が対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様(但し、対象者及び公開買付関係者を除きます。)の所有する対象者株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう対象者に要請する予定です。

 

本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、対象者の株主の皆様は、対象者に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様(但し、対象者及び公開買付関係者を除きます。)の所有する対象者株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する対象者の株主の皆様は、上記請求及び申立てを行うことができることになる予定です。なお、当該申立てがなされた場合の対象者株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。

 

本株式併合に関する手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付関係者の株券等所有割合、及び公開買付関係者以外の株主の対象者株式の所有状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった対象者の各株主の皆様(但し、対象者及び公開買付関係者を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。

 

以上の場合における具体的な手続及び実施時期等については、対象者と協議の上、決定次第、対象者が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、対象者の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(5)上場廃止となる見込み及びその事由

対象者株式は、本日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されていますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、対象者株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。

また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、対象者の株主を公開買付関係者のみとするための一連の手続を実施することを予定しておりますので、その場合、対象者株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、対象者株式が上場廃止となった場合は、対象者株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできなくなります。上場廃止を目的とする理由並びに少数株主への影響及びそれに対する考え方については上記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」及び「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。

 

(6)本公開買付けに関する重要な合意に関する事項

① 公開買付けに係る合意書

本公開買付けに際し、公開買付者は、本日付で、日本たばこ産業との間で本合意書を締結し、日本たばこ産業は、不応募合意株式について本公開買付けに応募しないこと、また、本合意書に定める場合のほか、不応募合意株式の全部又は一部について、譲渡、担保設定その他の処分を行わず、また、対象者株式又は対象者株式に係る権利の取得を行わないことを合意しております。但し、本合意書において、公開買付期間の末日(以下、本項において「本満了日」といいます。)までに、公開買付者以外の者から、本公開買付価格を5%以上上回る金額に相当する価格による対象者株式の取得(公開買付け、組織再編その他方法を問わないが、買付予定数の上限が設定されない公開買付けその他対象者の完全子会社を前提とした取引に限ります。)の公表(以下「対抗提案」といいます。)がなされた場合には、日本たばこ産業は、公開買付者に対して、本公開買付価格及び本自己株式取得価格の変更について協議を申し入れることができるとされています。この場合、(i)公開買付者が当該申入れの日から起算して5営業日を経過する日又は本満了日の前日のうちいずれか早い方の日までに、本公開買付価格を対抗提案に係る取得対価を上回る金額に変更しないとき又は本自己株式取得価格を対抗提案に係る取得対価を税効果を考慮して実質的に上回る金額に変更しないときであって、かつ、(ii)公開買付者による本取引に関する提案と当該対抗提案とを総合的に比較した上で、対抗提案に応じないことが日本たばこ産業の取締役の善管注意義務に違反する具体的な可能性があると合理的に認められるときには、日本たばこ産業は、当該対抗提案に応じることができるとされております。

また、本合意書において、日本たばこ産業は、2025年5月7日から本自己株式取得の実行日までの間、公開買付者以外の者との間で、直接又は間接に、本取引と競合、矛盾若しくは抵触する取引(以下「抵触取引」といいます。)について、第三者との合意、合意に向けた申込み、申込みの誘引、承諾、協議、交渉、勧誘又は情報提供を行ってはならないとされております。但し、日本たばこ産業がかかる義務に違反することなく、公開買付者以外の第三者が抵触取引に関する書面による真摯かつ具体的な提案(対抗提案に至る可能性があると具体的かつ合理的に認められるものに限ります。)を行った場合において、日本たばこ産業が当該第三者との間で、当該提案に関連し、情報提供、協議、又は交渉を行うことは妨げられないとされています。

なお、日本たばこ産業は、以下の事由が全て充足されていることを条件として、上記の義務を履行することとされています。なお、日本たばこ産業は、その任意の裁量により、かかる事由のいずれも放棄して当該義務を履行することができます。

(1)            本特別委員会において、対象者取締役会が本取引に賛同し、かつ、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当である旨の答申を行い、かつ、当該答申が変更又は撤回されていないこと

(2)            対象者取締役会により、本取引に賛同し、かつ、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明に係る決議がなされ、これが法令等に従って公表されており、かつ、かかる意見表明が変更又は撤回されていないこと

(3)            本取引のいずれかを制限又は禁止する司法・行政機関等の判断等がなされておらず、かつ、その具体的なおそれがないこと

(4)            本合意書に規定する本公開買付者の義務が重要な点において全て履行又は遵守されていること

(5)            本合意書に規定する本公開買付者の表明保証事項(注)が重要な点において全てが真実かつ正確であること

(6)            公正取引委員会による排除措置命令を行わない旨の通知が本満了日の10営業日前までに完了することが合理的に確実であること

(7)            本吸収分割に係る合意書が適法かつ有効に締結され、かつ存続していること

 

さらに、本合意書においては、(ⅰ)本公開買付けが成立し、公開買付者が本公開買付けにおいて本公開買付対象株式の全てを取得できなかった場合に、公開買付者及び日本たばこ産業は、対象者に対して本株式併合の実施に必要な事項を議案とする株主総会の開催を要請し、当該議案に賛成の議決権を行使すること、(ii)本株式併合の効力発生の後、日本たばこ産業及び公開買付者が別途合意する日に、本自己株式取得を行うために必要な分配可能額を確保するため、本資金提供及び本減資等を実施すること、(iii)本株式併合の効力発生の後(本減資等を行う場合は本減資等の効力発生後)、2025年9月1日又はそれ以降実務上可能な限り速やかに、日本たばこ産業は、本自己株式取得価格の全額の受領と引換えに、日本たばこ産業が所有する対象者株式の全てを対象者に対して売り渡し、日本たばこ産業及び公開買付者は、対象者をして、当該対象者株式の全てを買い取らせるとともに、日本たばこ産業に対して本自己株式取得価格の全額を支払わせることについて合意しております。

なお、本合意書において、(a)本公開買付けの条件に係る事項、(b)公開買付者及び日本たばこ産業による表明保証事項(注)、(c)競争法上のクリアランス取得に向けた努力義務、(d)日本たばこ産業による対象者役職員の勧誘禁止義務、(e)公開買付者及び日本たばこ産業が本合意書に基づく自らの義務又は表明保証事項に違反した場合の補償義務、(f)自らに発生する公租公課及び費用の負担義務、(g)秘密保持義務、(h)契約上の権利義務の譲渡禁止義務、並びに、(i)義務違反又は表明保証事項の重大な違反がある場合、相手方に対し倒産手続開始の申立てがなされた場合、本公開買付けが本合意書締結日から6ヶ月以内に開始されなかった場合、日本たばこ産業が対抗提案に応じることとなった場合等を事由とする本合意書の終了に係る条項等を合意しております。

 

(注)本合意書において、日本たばこ産業は、(1)設立及び存続の有効性、(2)本合意書の締結及び履行に必要な権限及び権能の存在並びに本合意書の締結及び履行に関して、関係法令及び日本たばこ産業の内部規則上必要とされる手続の履践、(3)本合意書の有効性及び強制執行可能性、(4)本合意書の締結及び履行に必要な許認可等及びその他法令等に基づく手続の取得又は履践、(5)本合意書の締結及び履行についての法令等及び社内規則並びに司法・行政機関等の判断等との抵触の不存在、(6)支払不能でないこと及び倒産手続等の開始の申立ての不存在、(7)反社会的勢力との取引・関与の不存在、並びに(8)不応募合意株式の適法かつ有効な所有について表明及び保証を行っております。公開買付者は、(1)設立及び存続の有効性、(2)本合意書の締結及び履行に必要な権限及び権能の存在並びに本合意書の締結及び履行に関して、関係法令及び公開買付者の内部規則上必要とされる手続の履践、(3)本合意書の有効性及び強制執行可能性、(4)本合意書の締結及び履行に必要な許認可等及びその他法令等に基づく手続の取得又は履践、(5)本合意書の締結及び履行についての法令等及び社内規則並びに司法・行政機関等の判断等との抵触の不存在、(6)支払不能でないこと及び倒産手続等の開始の申立ての不存在等、(7)反社会的勢力との取引・関与の不存在、並びに(8)資金調達について表明及び保証を行っております。

 

2.買付け等の概要

(1)対象者の概要

名称

鳥居薬品株式会社

所在地

東京都中央区日本橋本町三丁目4番1号

代表者の役職・氏名

代表取締役社長  近藤 紳雅

事業内容

医薬品の製造・販売

資本金(2025年3月31日現在)

5,190百万円

設立年月日

1921年(大正10年)11月1日

大株主及び持株比率

(2024年12月31日現在)(注)

日本たばこ産業株式会社

54.77%

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

5.15%

立花証券株式会社

3.20%

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

2.50%

CEPLUX- THE INDEPENDENT UCITS PLATFORM 2

(常任代理人シティバンク、エヌ・エイ東京支店)

1.60%

東海東京証券株式会社

1.15%

鳥居薬品従業員持株会

0.96%

BNP PARIBAS LONDON BRANCH FOR PRIME BROKERAGE CLEARANCE ACC FOR THIRD PARTY

(常任代理人 香港上海銀行東京支店)

0.90%

松井証券株式会社

0.88%

RE FUND 107-CLIENT AC

(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)

0.86%

公開買付者と対象者の関係

資本関係

公開買付者は、対象者株式1株(所有割合:0.00%)を所有しております。

人的関係

該当事項はありません。

取引関係

該当事項はありません。

関連当事者への

該当状況

該当事項はありません。

         

(注)「大株主及び持株比率」は、対象者が2025年3月27日に提出した第133期有価証券報告書(以下「対象者有価証券報告書」といいます。)に記載された「大株主の状況」より引用しております。

 

(2)日程等

① 日程

取締役会決議日

2025年5月7日(水曜日)

公開買付開始公告日

2025年5月8日(木曜日)

電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。

(電子公告アドレス https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/)

公開買付届出書提出日

2025年5月8日(木曜日)

 

② 届出当初の買付け等の期間

2025年5月8日(木曜日)から2025年6月18日(水曜日)まで(30営業日)

 

③ 対象者の請求に基づく延長の可能性の有無

該当事項はありません。

 

(3)買付け等の価格

普通株式1株につき、金6,350円

 

(4)買付け等の価格の算定根拠等

① 算定の基礎

公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼いたしました。なお、SMBC日興証券は公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。

SMBC日興証券は、複数の株式価値算定手法の中から対象者株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、対象者が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法及び将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法の各手法を用いて対象者株式の株式価値の算定を行い、公開買付者はSMBC日興証券から2025年5月2日付で対象者株式の株式価値に関する本株式価値算定書を取得しました。なお、公開買付者はSMBC日興証券から、本公開買付価格の妥当性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

SMBC日興証券による対象者株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりです。

市場株価法    :4,432円~4,559円

類似上場会社比較法:3,532円~3,724円

DCF法       :4,740円~6,358円

 

市場株価法では、算定基準日を2025年5月2日として、東京証券取引所プライム市場における対象者株式の算定基準日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円を基に、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を4,432円から4,559円までと算定しております。

類似上場会社比較法では、対象者と類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を通じて、対象者株式の株式価値を評価し、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を3,532円から3,724円までと算定しております。

DCF法では、対象者から提供された2025年12月期から2033年12月期までの事業計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2025年4月期以降に対象者が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことにより対象者の企業価値や株式価値を評価し、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を4,740円から6,358円までと算定しております。なお、DCF法による算定に用いた2025年12月期から2033年12月期までの対象者の事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2026年12月期について、上市に向けて開発品に係る研究開発費を予定していることから、営業利益はマイナスとなることが見込まれておりますが、前年度に発生を見込んでいる開発品に係る開発マイルストーンの支払がなくなることから、フリー・キャッシュ・フローは前年度マイナスからプラスになり、対前年度比で大幅な増加が見込まれております。2027年12月期について、前年度に予定している開発品に係る研究開発費が減少し、営業利益はマイナスからプラスになり、対前年度比で大幅な増加が見込まれております。2028年12月期について、開発品に係る開発マイルストーンの支払を予定していることから、フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなる予定であり、対前年度比で大幅な減少が見込まれておりますが、2029年12月期は当該開発マイルストーンの支払がなくなる予定であることから、フリー・キャッシュ・フローはプラスとなる予定であり、対前年度比で大幅な増加が見込まれております。2030年12月期については開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、営業利益は対前年度比71.9%増加、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比418.2%増加が見込まれております。2031年12月期についても開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比98.1%増加することが見込まれております。2032年12月期についても開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、営業利益は対前年度比42.5%増加することが見込まれております。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。

 

公開買付者は、SMBC日興証券から取得した本株式価値算定書の算定結果に加え、公開買付者において実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に本日開催の取締役会において、本公開買付価格を1株当たり6,350円とすることを決定いたしました。

 

本公開買付価格6,350円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年5月2日の対象者株式の東京証券取引所プライム市場における終値5,230円に対して21.41%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円に対して43.28%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円に対して41.68%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円に対して39.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となります。

なお、公開買付者は、対象者に対して株主名簿の閲覧謄写請求を行うことを目的として、2025年4月28日を取得日として、対象者の従業員から相対取引により対象者株式1株を4,340円(2025年4月28日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値)で取得しております。本公開買付価格(6,350円)と当該取得価格(4,340円)との間には2,010円の差異がありますが、本公開買付けによる取得と異なり、当該取得価格には同終値に対するプレミアムを付与しておりません。

 

② 算定の経緯

(本公開買付価格の決定に至る経緯)

公開買付者は、上記「1. 買付け等の目的等」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者は対象者に対して、2024年8月6日に本公開買付けに関する初期的な意向表明を行った後、2024年8月下旬から同年10月上旬までの間、法務・財務・税務等の観点からの各種デュー・ディリジェンスを実施するとともに、2025年5月7日に至るまで、本公開買付価格について本格的な協議・検討を進めてまいりました。

具体的には、公開買付者は、2024年10月2日にデュー・ディリジェンスにおいて開示された情報、SMBC日興証券による対象者株式の市場株価法、類似上場会社比較法及びDCF法を用いた算定結果を総合的に勘案し、本公開買付価格を5,878円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,900円に対して50.72%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,750円に対して56.75%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,647円に対して61.17%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,730円に対して57.59%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,239円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,900円に対して8.69%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,750円に対して13.04%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,647円に対して16.23%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,730円に対して13.65%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の第1回提案を行いました。これに対して、対象者より、2024年10月15日、当該公開買付価格は、本取引と類似した事例と比較すると、およそ同程度のプレミアムが付されていると認識しており、一定の評価をするものの、①プレミアムは価値評価そのものではなく、類似事例の数値から統計値等を計算して比較しているに過ぎないこと、②本取引は本自己株式取得による税務メリットを利用することで少数株主に対して高い公開買付価格を提示可能であるところ、当該税務メリットを利用しない場合と比較して必然的にプレミアムが高くなることを踏まえれば、本取引はプレミアムの多寡のみで判断すべきでなく、対象者株式について正当な価値評価がなされているかで判断すべきであること、③対象者の事業計画に基づいた今後の成長性を踏まえれば、当該公開買付価格は著しく低いこと、④本取引の具体的なシナジー効果を想定した上で、実現可能性を加味し、定量化し企業価値に反映すべきこと、以上の理由から、本公開買付価格の引上げの要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2024年10月28日、対象者の将来的な成長ポテンシャルを十分に考慮した対象者の本源的価値を反映したものとして、本公開買付価格を6,062円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,870円に対して56.64%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,929円に対して54.29%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,704円に対して63.66%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,734円に対して62.35%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,334円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値3,870円に対して11.99%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,929円に対して10.31%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,704円に対して17.01%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,734円に対して16.07%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の第2回提案を行いました。また、2024年12月期における期末配当について、2024年10月2日付公開買付価格の提案において、当該期末配当が行われないことを前提としたものである旨説明を行いました。これに対して、対象者より、2024年11月11日、第2回提案における公開買付価格は、対象者の本源的価値を100%表した価額とは到底言えず、上値の余地が存在するものと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、いまだ十分な水準にあると評価できないものと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。一方で、公開買付者は、独占禁止法第10条第2項に基づき、本株式取得に関して、公正取引委員会によるクリアランス(詳細は下記「6 株券等の取得に関する許可等」をご参照ください。)を得る必要があるところ、2024年11月1日に実施した公正取引委員会への事前相談の中で、公正取引委員会による本事前審査に関して当初想定よりも期間を要することが判明し、2024年11月5日、対象者に対して本公開買付価格の協議に関して休止することを申し入れました。その後、クリアランス取得に向けた公正取引委員会との協議が一定程度進展したことから、公開買付者は、2025年1月10日、対象者に対して本取引公表予定日を2025年3月5日として本公開買付価格の協議を再開したい意向を申し入れました。しかしながら、その後、公正取引委員会への事前相談を継続する中で、改めて本事前審査に期間を要することが判明したことから、公開買付者は、2025年2月4日、対象者に対して本公開買付価格の協議に関して再度休止することを申し入れました。さらにその後、引き続き公正取引委員会への事前相談を継続していたところ、公正取引委員会による本事前審査につき終了の目処が立ったことから、公開買付者は、2025年3月13日、対象者に対して本取引公表予定日を2025年5月7日として本公開買付価格の協議を再開したい意向を申し入れました。そして、公開買付者は、2025年4月11日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,181円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,230円に対して46.12%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,508円に対して37.11%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,554円に対して35.73%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,497円に対して37.45%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,450円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,230円に対して5.20%のプレミアム、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,508円に対して1.29%のディスカウント、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,554円に対して2.28%のディスカウント、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,497円に対して1.05%のディスカウントとなる価格)とする旨の第3回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年4月15日、第3回提案における公開買付価格は、依然として対象者の本源的価値として十分な価額を表したものではないと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、より高い価格の提示が可能と考えていること、第3回提案価格における公開買付価格から算出されるプレミアムは、過去1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月における終値単純平均株価対比ではいずれも30%台に留まっており、同種の過去事例と比較して充分な水準にあると評価・判断することは困難であるとして、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2025年4月18日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,283円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,500円に対して39.62%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,463円に対して40.78%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,534円に対して38.58%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,510円に対して39.31%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,522円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,500円に対して0.49%のプレミアム、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,463円に対して1.32%のプレミアム、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,534円に対して0.26%のディスカウント、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,510円に対して0.27%のプレミアムとなる価格)とする旨の第4回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年4月21日、第4回提案における公開買付価格は、これまでの主張に基づいて、一定の配慮がなされたものと判断する一方で、事業計画に基づき本源的価値を充分に評価するか、若しくは期待されるシナジー効果額を織り込む等することにより、株式価値をより高く評価することで、公開買付価格をより高くする余地は依然として存在するのではないかと考えていること、また、市場株価に対するプレミアム率に関しても、足元の株価水準に鑑みれば、必ずしも充分と言える水準ではないとして、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2025年4月25日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,326円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,435円に対して42.64%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,425円に対して42.96%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,506円に対して40.39%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,531円に対して39.62%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,551円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,435円に対して2.62%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,425円に対して2.85%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,506円に対して1.00%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,531円に対して0.44%のプレミアムとなる価格)とする旨の第5回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年4月28日、第5回提案における公開買付価格は、第4回提案における公開買付価格から引き揚げられたものの、小幅に留まっており、依然として一般株主に対して必ずしも十分な配慮がなされた水準とはいえないのでないかとして、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請を受けました。これを受け、公開買付者は、2025年5月1日、対象者が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,350円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,850円に対して30.93%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,397円に対して44.42%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,469円に対して42.09%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,553円に対して39.47%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,568円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における対象者株式の終値4,850円に対して5.81%のディスカウント、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,397円に対して3.89%のプレミアム、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,469円に対して2.22%のプレミアム、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,553円に対して0.33%のプレミアムとなる価格)とする旨の第6回提案を行いました。これに対して、対象者より、2025年5月2日、第6回提案を受諾する旨の回答を受領し、本公開買付価格を6,350円、本自己株式取得価格を4,568円とすることについて対象者との間で合意に至りました。

 

(a)算定の際に意見を聴取した第三者の名称

公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、対象者及び公開買付関係者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券から提出された本株式価値算定書を参考にいたしました。なお、SMBC日興証券は対象者及び公開買付関係者の関連当事者に該当せず、本公開買付に関して、重要な利害関係を有しておりません。なお、公開買付者は、上記「3 買付け等の目的」の「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載された各措置等を踏まえて、対象者の少数株主の利益に十分な配慮がなされていると考えていることから、SMBC日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

 

(b)当該意見の概要

SMBC日興証券は、市場株価法、類似上場会社比較法及びDCF法の各手法を用いて対象者株式の株式価値の算定を行っており、各手法において算定された対象者株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

市場株価法    :4,432円~4,559円

類似上場会社比較法:3,532円~3,724円

DCF法       :4,740円~6,358円

 

(c)当該意見を踏まえて本公開買付価格を決定するに至った経緯

公開買付者は、SMBC日興証券から取得した本株式価値算定書の算定結果に加え、公開買付者において実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に本日開催の取締役会において、本公開買付価格を1株当たり6,350円とすることを決定いたしました。

 

③ 算定機関との関係

SMBC日興証券は公開買付者及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。

 

(5)買付予定の株券等の数

株券等の種類

買付予定数

買付予定数の下限

買付予定数の上限

普通株式

12,712,351(株)

3,342,000(株)

-(株)

合計

12,712,351(株)

3,342,000(株)

-(株)

(注1)応募株券等の総数が買付予定数の下限(3,342,000株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。応募株券等の総数が買付予定数の下限(3,342,000株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。

(注2)本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておりませんので、買付予定数は、本公開買付けにより公開買付者が取得する対象者の株券等の最大数を記載しております。当該最大数は、対象者決算短信に記載された2025年3月31日現在の発行済株式総数(28,800,000株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(688,848株)、本日現在公開買付者が所有する対象者株式数(1株)及び不応募合意株式(15,398,800株)を控除した株式数(12,712,351株)になります。

(注3)単元未満株式についても、本公開買付けの対象としております。なお、会社法に従って株主による単元未満株式買取請求権が行使された場合には、対象者は法令の手続に従い公開買付期間中に自己の株式を買い取ることがあります。

(注4)本公開買付けを通じて、対象者が所有する自己株式を取得する予定はありません。

 

(6)買付け等による株券等所有割合の異動

買付け等前における公開買付者の

所有株券等に係る議決権の数

-個

(買付け等前における株券等所有割合

-%)

買付け等前における特別関係者の

所有株券等に係る議決権の数

153,988個

(買付け等前における株券等所有割合

54.78%)

買付け等後における公開買付者の

所有株券等に係る議決権の数

127,123個

(買付け等後における株券等所有割合

45.22%)

買付け等後における特別関係者の

所有株券等に係る議決権の数

153,988個

(買付け等後における株券等所有割合

54.78%)

対象者の総株主等の議決権の数

280,817個

 

(注1)「買付け等前における特別関係者の所有株券等に係る議決権の数」及び「買付け等後における特別関係者の所有株券等に係る議決権の数」は、各特別関係者(但し、特別関係者のうち法第27条の2第1項各号における株券等所有割合の計算において発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第38号。その後の改正を含みます。以下「府令」といいます。)第3条第2項第1号に基づき特別関係者から除外される者を除きます。)が所有する株券等に係る議決権の数の合計を記載しております。但し、本公開買付けにおいては、特別関係者が所有する株券等のうち、日本たばこ産業が所有する不応募合意株式及び対象者が所有する自己株式を除く対象者株式について買付け等の対象としているため、「買付け等後における特別関係者の所有株券等に係る議決権の数」は、日本たばこ産業が所有する不応募合意株式(15,398,800株)に係る議決権の数(153,988個)のみを記載しております。また、公開買付者は、本日以後に特別関係者の所有する対象者の株券等を確認の上、訂正が必要な場合には、訂正した内容を開示する予定です。

(注2)「買付け等後における公開買付者の所有株券等に係る議決権の数」は、買付予定数(12,712,351株)に係る議決権の数です。

(注3)「対象者の総株主等の議決権の数」は、対象者有価証券報告書に記載された2024年12月31日現在の総株主等の議決権の数です。但し、本公開買付けにおいては単元未満株式についても買付け等の対象としているため、「買付け等前における株券等所有割合」及び「買付け等後における株券等所有割合」の計算においては、対象者決算短信に記載された2025年3月31日現在の対象者の発行済株式総数(28,800,000株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(688,848株)を控除した株式数(28,111,152株)に係る議決権の数(281,111個)を分母として計算しております。

(注4)「買付け等前における株券等所有割合」及び「買付け等後における株券等所有割合」については、小数点以下第三位を四捨五入しております。

 

(7)買付代金

80,723,428,850円

(注)「買付代金」は、本公開買付けにおける買付予定数(12,712,351株)に、1株当たりの本公開買付価格(6,350円)を乗じた金額です。

 

(8)決済の方法

① 買付け等の決済をする金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店所在地

SMBC日興証券株式会社  東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

 

② 決済の開始日

2025年6月25日(水曜日)

 

③ 決済の方法

公開買付期間終了後遅滞なく、本公開買付けによる買付け等の通知書を本公開買付けに係る株券等の買付け等の申込みに対する承諾又は売付け等の申込みをされる方(以下「応募株主等」といいます。)(外国人株主等の場合にはその常任代理人)の住所又は所在地宛に郵送します。なお、オンライントレード(https://trade.smbcnikko.co.jp/)(以下「日興イージートレード」といいます。)からの応募については、電磁的方法により交付します。

買付けは、現金にて行います。買付けられた株券等に係る売却代金は、応募株主等(外国人株主等の場合にはその常任代理人)の指示により、決済の開始日以後遅滞なく、公開買付代理人から応募株主等(外国人株主等の場合にはその常任代理人)の指定した場所へ送金します。

 

④ 株券等の返還方法

下記「(9)その他買付け等の条件及び方法」の「① 法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容」又は「② 公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法」に記載の条件に基づき応募株券等の全部を買付けないこととなった場合には、公開買付代理人は、返還することが必要な株券等を、公開買付期間の末日の翌々営業日(本公開買付けの撤回等を行った場合は撤回等を行った日)に、公開買付代理人の応募株主口座上で、応募が行われた時の状態(応募が行われた時の状態とは、本公開買付けへの応募注文の執行が解除された状態を意味します。)に戻します。

 

(9)その他買付け等の条件及び方法

① 法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容

応募株券等の総数が買付予定数の下限(3,342,000株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。応募株券等の総数が買付予定数の下限(3,342,000株)以上の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行います。

 

② 公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法

金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。以下「令」といいます。)第14条第1項第1号イ乃至ヌ及びワ乃至ツ、第3号イ乃至チ及びヌ、第4号、並びに同条第2項第3号乃至第6号に定める事項のいずれかが生じた場合は、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。

なお、令第14条第1項第3号ヌに定める「イからリまでに掲げる事実に準ずる事実」とは、対象者が過去に提出した法定開示書類について、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けていることが判明した場合をいいます。

また、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。以下「独占禁止法」といいます。)第10条第2項に基づく公正取引委員会に対する公開買付者の事前届出に関し、公開買付期間(延長した場合を含みます。)満了の日の前日までに、(ⅰ)公正取引委員会から、対象者株式の全部又は一部の処分や事業の一部の譲渡を命じる内容の排除措置命令の事前通知を受けた場合、(ⅱ)措置期間が終了しない場合、又は(ⅲ)独占禁止法第10条第1項の規定に違反する疑いのある行為をする者として裁判所の緊急停止命令の申立てを受けた場合には、令第14条第1項第4号の「許可等」が得られなかった場合として、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。

撤回等を行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

 

③ 買付け等の価格の引下げの条件の有無、その内容及び引下げの開示の方法

法第27条の6第1項第1号の規定により、対象者が公開買付期間中に令第13条第1項に定める行為を行った場合は、府令第19条第1項の規定に定める基準に従い、買付け等の価格の引下げを行うことがあります。

買付け等の価格の引下げを行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

買付け等の価格の引下げがなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、引下げ後の買付け等の価格により買付け等を行います。

 

④ 応募株主等の契約の解除権についての事項

応募株主等は、公開買付期間中、いつでも本公開買付けに係る契約を解除することができます。

契約の解除をする場合は、公開買付期間の末日の15時30分までに、下記に指定する者に本公開買付けに係る契約の解除を行う旨の書面(以下「解除書面」といいます。)を交付又は送付する等の方法によりお手続ください(但し、各営業店によって営業時間が異なります。事前にご利用になられる営業店の営業時間等をご確認の上、お手続ください。)。但し、送付の場合は、解除書面が公開買付期間の末日の15時30分までに、下記に指定する者に到達することを条件とします(但し、各営業店によって営業時間が異なります。事前にご利用になられる営業店の営業時間等をご確認の上、お手続ください。)。

なお、日興イージートレードにおいて応募された契約の解除は、日興イージートレードログイン後、画面に記載される方法に従い、公開買付期間の末日の15時30分までに解除手続を行ってください。

 

解除書面を受領する権限を有する者

SMBC日興証券株式会社  東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

(その他のSMBC日興証券株式会社国内各営業店)

 

なお、公開買付者は、応募株主等による契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払いを応募株主等に請求することはありません。また、応募株券等の返還に要する費用も公開買付者の負担とします。解除を申し出られた場合には、応募株券等は当該解除の申出に係る手続終了後速やかに上記「(8)決済の方法」の「④ 株券等の返還方法」に記載の方法により返還します。

 

⑤ 買付条件等の変更をした場合の開示の方法

公開買付者は、公開買付期間中、法第27条の6第1項及び令第13条により禁止される場合を除き、買付条件等の変更を行うことがあります。

買付条件等の変更を行おうとする場合は、その変更等の内容につき電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

買付条件等の変更がなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、変更後の買付条件等により買付け等を行います。

 

⑥ 訂正届出書を提出した場合の開示の方法

訂正届出書を関東財務局長に提出した場合(但し、法第27条の8第11項但書に規定する場合を除きます。)は、直ちに、訂正届出書に記載した内容のうち、公開買付開始公告に記載した内容に係るものを、府令第20条に規定する方法により公表します。また、直ちに公開買付説明書を訂正し、かつ、既に公開買付説明書を交付している応募株主等に対しては、訂正した公開買付説明書を交付して訂正します。但し、訂正の範囲が小範囲に止まる場合には、訂正の理由、訂正した事項及び訂正後の内容を記載した書面を作成し、その書面を応募株主等に交付することにより訂正します。

 

⑦ 公開買付けの結果の開示の方法

本公開買付けの結果については、公開買付期間の末日の翌日に、令第9条の4及び府令第30条の2に規定する方法により公表します。

 

(10)公開買付開始公告日

2025年5月8日(木曜日)

 

(11)公開買付代理人

SMBC日興証券株式会社  東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

 

3.本公開買付け後の方針等及び今後の見通し

(1)本公開買付け後の方針等

上記「1.買付け等の目的等」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」、「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」及び「(5)上場廃止となる見込み及びその事由」をご参照ください。

 

(2)今後の見通し

本取引による公開買付者の2026年3月期における連結業績に与える影響につきましては、現在精査中でありますが、公表すべき事項が生じた場合には、速やかに公表いたします。

 

4.その他

(1)公開買付者と対象者又はその役員との間の合意の有無及び内容

① 本公開買付けへの賛同

対象者プレスリリースによれば、対象者は本日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することの決議をしたとのことです。

なお、詳細については、対象者プレスリリース及び上記「1.買付け等の目的等」の「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」をご参照ください。

 

(2)投資者が買付け等への応募の是非を判断するために必要と判断されるその他の情報

① 「2025年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」

対象者は、2025年4月25日付で、対象者決算短信を公表しており、当該公表の概要は以下のとおりです。なお、当該内容につきましては、法第193条の2第1項の規定に基づく監査法人の監査を受けていないとのことです。以下の公表内容の概要は、対象者が公表した内容を一部抜粋したものです。詳細につきましては、当該公表の内容をご参照ください。

 

(ⅰ)損益の状況

会計期間

2025年12月期 第1四半期

売上高

14,683百万円

売上原価

8,059百万円

販売費及び一般管理費

4,920百万円

営業外収益

171百万円

営業外費用

15百万円

四半期純利益

1,391百万円

 

(ⅱ)1株当たりの状況

会計期間

2025年12月期第1四半期

1株当たり四半期純利益

49.51円

1株当たり純資産

4,311.60円

 

② 「2025年12月期の中間配当及び期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」

対象者が、本日付で公表した「2025年12月期の中間配当及び期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」によれば、対象者は同日開催の対象者取締役会において、2025年12月期の中間配当及び期末配当を行わないことを決議したとのことです。詳細につきましては、対象者の当該公表内容をご参照ください。

 

(参考)2025年3月期(2024年4月1日から2025年3月31日)の連結業績予想(2025年1月31日公表分)及び前期実績

 

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社の

所有者に帰属する当期利益

基本的

1株当たり

当期利益

当期連結業績予想

(2025年3月期)

460,000百万円

165,000百万円

206,000百万円

171,000百万円

201.03円

前期実績

(2024年3月期)

435,081百万円

153,310百万円

198,283百万円

162,030百万円

558.51円

 

 

 

以 上

 

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