~持続可能(サステイナブル)な社会の実現に向けたSHIONOGIのコミットメント~

 

 SHIONOGIはSHIONOGI Group Heritage(SHIONOGIの基本方針)の冒頭の一文「SHIONOGIは常に人々の健康を守るために必要な最もよい“薬(ヘルスケアソリューション)”を提供する」を当社グループの目的として、患者さまやそのご家族、医療に携わる皆様、さらには社会全体における健康・医療に関する困りごとの解決に取り組んでいます。SHIONOGIは2030年にありたい姿(2030年Vision)として「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」を掲げ、その実現に向けた具体的な戦略として2020年6月に中期経営計画STS2030を策定し、達成に向け全社を挙げて取り組みを推進してきました。STS2030 の策定から3年が経過し、大きな社会問題であったCOVID-19に関して新規の治療薬の提供やワクチン製造販売申請を実施するなどの具体的な成果が創出され、2030年Vision実現までの道のりがより明確になったことから、本年6月にはSTS2030をアップデートしSTS2030 Revisionとして再策定するに至っています。引き続き、SHIONOGIの持続的成長を確かなものとするため、ヘルスケアを取り巻く社会課題を解決する新たな価値を創出するとともに、世界中の皆様にお届けするための取り組みを推進していきます。

代表取締役会長兼社長 CEO 手代木 功

 企業として「持続可能な社会への貢献」は、「企業の持続的成長」と並んで責任をもって果たしていかなければならない重要なテーマです。とりわけ環境面に関しては、自然資本を投入して事業活動を行っているものとして、当社グループの事業活動によって生じる負の影響(資源の枯渇、環境汚染など)を最小限に留めることの重要性を深く認識しています。SHIONOGIは重要課題(マテリアリティ)の一つとして「環境への配慮」を特定し、グローバルに喫緊の課題である気候変動対応や、製薬企業特有の課題である医薬品製造過程における化学物質の環境への排出、さらには海洋プラスチック問題を含む省資源・資源循環や生物多様性の保全など、種々の環境課題に誠実に向き合い、責任ある対応を進めています。

 2022年度は、製造施設からの抗菌薬の環境中排出抑制に関する継続的な取り組みや、温室効果ガス削減目標達成に向けた施策の実施、TCFD*1提言に基づく情報開示への対応など、グループを挙げて進めている環境諸課題への対応が認められ、製薬企業として初めて環境大臣が認定する「エコ・ファースト企業」に認定されました。加えて、CDP*2からは「気候変動」および「水セキュリティ」の両部門において最高評価であるA評価をいただくことができました。当社グループの取り組みを社外のステークホルダーの皆様から高くお認めいただけましたことを大変光栄に思っています。

 引き続きステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントを強化し、将来に渡って必要とされる企業となれるよう、気候変動をはじめとした環境諸課題への対応を進め社会的責任を果たしていきます。

*1:Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース

*2:環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買企業の要請に基づき、企業や自治体に、気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題対策に関して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動としている非営利組織

~持続可能な社会の実現に向けたSHIONOGIのEHS*3活動~

 

 SHIONOGIは顧客・社会への負の影響を軽減するために取り組む重要課題(マテリアリティ)として「環境への配慮」を特定しており、中期経営計画STS2030 Revisionにおいてもサステイナビリティ課題への対応として「環境」を掲げています。さらに、SHIONOGIの事業特性や外部環境変化の分析、外部ステークホルダーならびにグループ内の関係者との対話などを通じて、「AMR*4」「気候変動」「省資源・資源循環」「水」の4項目を環境の中でもより優先すべき課題である『環境マテリアリティ』に特定し、課題解決に向けた活動を推進しています。

 2022年度は、SHIONOGIの環境および労働安全衛生を取り扱うEHS活動について、目的や意義、経営陣のコミット、推進体制、遵守する関連法規などをより明確にするために「SHIONOGIグループEHSポリシー」を改定しました。

上席執行役員 統括EHS責任者 畑中 一浩

 また、EHS活動を推進するための従業員の具体的な行動を明記した「SHIONOGIグループEHS行動規範」をあわせて制定し、企業理念であるSHIONOGI Group Heritageから、マテリアリティの特定、ポリシーおよび行動規範、具体的なEHS行動目標(単年・中長期)を整備しました。さらには、前年度に賛同を表明したTCFDの提言を踏まえ、グループ内の関連組織が連携してSHIONOGIの事業における気候変動の影響についてフレームワークに基づいた詳細な評価を実施するとともに、戦略ならびに具体的な対応策の検討を行い、その結果を開示するなど、社会からの要請にお応えするための対応にも注力しました。これらの対応を進めたことにより、世代を超えた後戻りの許されない世界共通の課題である環境問題に対して、SHIONOGIとして責任ある対応を進めていく基盤をより強固なものにできたと考えています。

 一方、2022年度はCOVID-19関連の研究開発や製造などのアクティビティが想定以上に増加したことより、エネルギーや水の使用量や廃棄物発生量など、環境関連項目の2022年度EHS行動目標と定めているいくつかの項目で目標値を達成することができませんでした。統括EHS責任者として昨年度の目標が未達となったことを重く受け止めており、2023年度は改めて環境負荷低減と効率的な自然資本の利用を考え、再生可能エネルギー由来電力への切り替えや、製造プロセスの最適化、製造設備の洗浄方法の効率化、シオノギファーマの取り組みであるラベル台紙の水平リサイクルなどの取り組みを継続し、可能な限り環境への影響を最小にするための活動について、より一層の強化を図っていきます。また、環境課題を取り巻く世界の流れが非常に早いこと、およびSHIONOGIを取り巻く事業環境が大きく変化していることを踏まえ、2020年に立案したEHS行動目標を見直し、より戦略的にSHIONOGIの環境への取り組みを推進していくための目標へとアップデートすることを検討しています。その中においては、近年、関心が高まってきている「生物多様性」についても目標に盛り込み、ネイチャーポジティブの実現に貢献する戦略的な取り組みとすべく、対応を検討していきたいと考えています。

 SHIONOGIは事業活動を通じて人々の健康と地球環境の維持に貢献することにより持続可能な社会の実現と会社の成長を両立させます。引き続き責任ある対応を進めるとともに情報開示の充実を図ることでステークホルダーの皆さまとのエンゲージメントを強化し、将来にわたり必要とされる企業となることができるよう、持続的な企業価値の向上に取り組んでいきます。

*3 EHS:Environment, Health and Safety(環境および安全衛生)

*4 AMR(薬剤耐性):Antimicrobial Resistance

シオノギの中期経営計画およびマテリアリティと環境マテリアリティ特定プロセスおよび環境行動目標のつながりを示しています。