2021/03/10

抗HIV治療における長期作用型注射2剤レジメンCabenuvaの ATLAS-2M試験96週時点の良好な結果に関するViiV社の発表について - 2ヵ月に1回投与群は96週においても継続的にウイルスの増殖を抑制 -

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、当社がGlaxoSmithKline plc.およびPfizer Inc.とともに資本参加しているViiV Healthcare Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV社」)が、Cabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)のATLAS-2M試験(試験概要は2ページ目を参照)につきまして、96週時点の良好な結果を2021 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI) にて発表しましたので、お知らせいたします。

 

ATLAS-2M試験の結果概要は以下の通りです。詳細はViiV社の発表をご参照下さい。

 

ATLAS-2M試験は、ウイルス学的失敗歴がなく6ヵ月以上ウイルス抑制が達成されたHIV患者を対象としてCabenuvaの2ヵ月に1回(8週間隔)投与時の有効性、安全性を月1回(4週間隔)投与時と比較した試験です。両投与群間で48週時点におけるウイルス学的失敗基準(血漿中HIV-1 RNA ≥50コピー/mL)に合致する患者の割合について非劣性を達成1,2しておりましたが、この度、96週時点においても非劣性が継続されました。

 

Ø  ウイルス学的失敗基準に合致する患者の割合

ü 8週間毎投与群:2.1%(11/522)、4週間毎投与群:1.1%(6/523)

Ø  ウイルス抑制効果を示した患者の割合

ü 8週間毎投与群:91.0%(475/522)、4週間毎投与群:90.2%(472/523)

Ø  ウイルス学的失敗(血漿中HIV-1 RNA ≥200コピー/mL)を示した患者の割合

ü 8週間毎投与群:1.7%(9/522)、4週間毎投与群:0.4%(2/523)

ü 48~96週の間に8週間毎投与群で耐性変異ウイルスを1例検出(リルピビリン耐性)

Ø  安全性

ü 48~96週の間に両群で新たな安全性の懸念は確認されませんでした。

 

 ATLAS-2M試験(96週)の結果より、2ヵ月に1回のCabenuvaの投与によりHIV感染患者が96週においてもウイルス抑制を維持できることが示されました。この結果は、今後患者の利便性がさらに向上することで、HIV治療におけるパラダイムシフトが起こる可能性を示唆しています。新たな治療選択肢であるCabenuvaの価値をより多くのHIV感染患者にお届けできるよう、ViiV社は引き続き長期の有効性および安全性の情報を収集していく予定です。

 

なお、米国においてCabenuvaは、月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンとして承認されており3、2ヵ月に1回投与については、ViiV社によって米国食品医薬品局(FDA)に医薬品承認事項変更申請が提出されています4。欧州においては、Vocabria(カボテグラビル注射剤および錠剤)とRekambys(リルピビリン注射剤)の名称で月1回投与および2ヵ月に1回投与の販売承認を取得しています5

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、HIV感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。HIV感染症は今なお国際社会における大きな課題です。2019年末時点において推定3,800万人がHIVに感染しており、年間170万人が新たにHIVに感染しています。当社はViiV社の株主として、世界中の皆さまにより良いHIV感染症の治療および予防の選択肢が提供されることを期待するとともに、今後も同社の経営に参画することで、HIV感染症治療や予防におけるドルテグラビルおよびカボテグラビルの価値最大化に貢献してまいります。

 

なお、本件が2021年3月期の業績に与える影響は軽微です。

以 上

 

【ATLAS-2M試験 (NCT03299049) について】

ATLAS-2M試験は、HIV-1に感染している成人1,045例を対象に、長期作用型カボテグラビルおよびリルピビリンを4週毎に48週間投与する群と比較して、8週毎に投与する群の抗ウイルス活性および安全性が非劣性であることを評価するためにデザインされた第III相、非盲検、実薬対照、多施設、並行群間、非劣性検証試験です。被験者は、初回もしくは2回目のレジメンで6ヵ月以上ウイルスが抑制されており、事前のウイルス学的失敗がない被験者を対象にしています。本試験の主要評価項目は、48週目にFDAスナップショットアルゴリズム(Intent-to-Treat Exposed [ITTE]集団)により、血漿HIV-1 RNA が50c/mL以上の被験者の割合です。

ATLAS-2試験の詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03299049をご参照下さい。

 

参考:

1.      プレスリリース: 2019年8月23日
抗HIV治療における長期作用型注射剤カボテグラビルの2ヵ月に1回の投与による良好な試験結果に関するViiV社の発表について

2.      プレスリリース: 2020年3月12日
抗HIV治療における長期作用型注射剤カボテグラビルとリルピビリン2剤レジメンの良好な臨床試験結果に関するViiV社の発表について

3.      プレスリリース: 2021年1月22日
抗HIV治療における月1回投与の長期作用型注射2剤レジメンCabenuvaカボテグラビルおよびリルピビリンの米国における承認取得に関するViiV社の発表について

4.      プレスリリース: 2021年2月26日
抗HIV治療における長期作用型注射2剤レジメンCabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)の米国での2ヵ月に1回投与の医薬品承認事項変更申請(sNDA)に関するViiV社の発表について

5.      プレスリリース: 2020年12月22日
抗HIV治療における長期作用型注射剤Vocabria(カボテグラビル)の 欧州における承認取得に関するViiV社の発表について