おしらせ
2025/07/18

グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコルの早期導入に向けた ケニア保健省への意向表明書およびConcept Noteの提出について

  塩野義製薬株式会社（本社：大阪市中央区、以下「塩野義製薬」）は、The Global Antibiotic Research and Development Partnership（本部：スイス ジュネーブ、以下「GARDP」）*と、グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコルのケニア共和国（以下「ケニア」）への早期導入に向けた意向表明書（Letter of Intent、以下「LOI」）およびプロジェクトの概要をまとめたConcept Noteをケニア保健省に提出し、受理されたことをお知らせいたします。

*GARDP: 健康に脅威をもたらす薬剤耐性（AMR）感染症の新規治療薬を開発するスイスに拠点を置く非営利団体

 

  このたび塩野義製薬とGARDPがケニア保健省に提出したLOI及びConcept Noteには、ケニア保健省が掲げる薬剤耐性（AMR）対策や抗菌薬適正使用に関する方針に沿って、三次医療機関（重篤な患者に対して高度で先進的な医療を提供する施設）におけるセフィデロコルの適正使用を段階的に支援していくプロジェクトの概要が示されています。塩野義製薬、GARDP、ケニア保健省およびその利害関係者が協働して進めるこのプロジェクトにより、ケニアへのセフィデロコルの早期導入と、ケニアおよびケニア以外の国々においてセフィデロコルの普及を検討するうえで有益な知見が得られることが期待されます。

 

  塩野義製薬は取り組むべきマテリアリティ（重要課題）の一つとして「医療アクセスの向上」を特定し、国内外のパートナーも含めた連携活動1,2をさらに強化しつつ、持続可能な社会の実現に向けて、AMR治療へのアクセス向上への貢献※やアフリカでの母子支援活動※を行っております。塩野義製薬は感染症のリーディングカンパニーとして、公衆衛生上の大きな課題であるAMRやCOVID-19など幅広い感染症への対策に継続して取り組んでまいります。

 

以　上

※　当社のAMRに対する取り組みついては、こちらをご覧ください。

※　当社のアフリカでの母子支援活動については、こちらをご覧ください。

 

【セフィデロコルについて】

セフィデロコル（製品名：日本「フェトロージャ®」、米国・台湾「Fetroja®」、欧州「Fetcroja®」）は、塩野義製薬が創製した、治療選択肢が限られている成人における重篤なグラム陰性細菌感染症に対する抗菌薬です。セフィデロコルは、細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序（βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出）による影響を受けにくい特徴を有します。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し細菌内に能動的に運ばれることで、細菌の細胞壁合成を阻害します。

 

【薬剤耐性（AMR）について】

薬剤耐性（AMR：Antimicrobial resistance）は、抗菌薬に対する細菌の耐性獲得により抗菌薬が効きにくくなることです。AMRは「サイレントパンデミック」と呼ばれ、人類が直面する世界的な公衆衛生上の脅威のひとつであり、緊急に対処が必要な世界規模の重要課題です3。2019年には、AMRにより世界中で127万人が死亡したと推定されています4。また、国際的な連携により対策を講じなければ、2050年までに年間1,000万人以上が命を落とす問題に発展し、世界経済に与えるインパクトは累積で100兆米ドルに及ぶとの予測がなされています5。

 

参考

1.       プレスリリース（2022/6/15）塩野義製薬、GARDP、CHAIによる細菌感染症治療薬セフィデロコルに関する ライセンス契約ならびに提携契約の締結について －135ヵ国でセフィデロコルへのアクセスを拡大－

2.       お知らせ（2025/5/9）長崎大学、サラヤ株式会社、株式会社Connect Afyaとの 抗菌薬適正使用体制の支援に関する包括的連携協定の締結について｜ 塩野義製薬

3.       Antimicrobial resistance (who.int) WHO. Antimicrobial resistance. Who.int. Published October 13, 2020.

4.       Antimicrobial Resistance Collaborators. Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. Lancet 2022; 399: 629–55

5.       160525_Final paper_with cover.pdf (amr-review.org)O’Neill J. ‘Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations’. Review on Antimicrobial Resistance. May 2016.

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム： お問い合わせ | 塩野義製薬 (shionogi.com)

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