・本承認は、グローバル第3相曝露後発症予防※1試験(SCORPIO-PEP試験)の良好な結果1, 2に基づく
・米国においてCOVID-19における曝露後発症予防の適応を取得した初の経口抗ウイルス薬
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」または「当社」)は、抗SARS-CoV-2薬 エンシトレルビル フマル酸(日本での製品名:ゾコーバ®、以下「エンシトレルビル」)について、当社の米国グループ会社であるShionogi Inc.がCOVID-19の曝露後発症予防を適応症として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことをお知らせいたします。なお、審査終了目標日(PDUFA)は2026年6月16日でした14。
※1 曝露後発症予防:新型コロナウイルス感染者との接触などウイルスに感染した可能性が生じた際に、発症前に抗ウイルス薬を投与することで感染症の発症を防ぐ行為
本承認は、グローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP※2試験)の良好な結果に基づくものです。本試験では「COVID-19を発症した患者の同居家族または共同生活者における曝露後発症予防」を主要評価項目としており、経口抗ウイルス薬として世界で初めてエンシトレルビルが有効性を示しました。エンシトレルビル群ではプラセボ群に対して、投与後10日目までのCOVID-19の発症リスクが統計学的に有意に67%低下しました¹。また、エンシトレルビルの忍容性は良好であり、有害事象の発現率は両群で同程度であることが確認されました²。なお、本試験の結果は、2026年5月14日付の「The New England Journal of Medicine」に掲載されています3。本承認により、エンシトレルビルは米国において、COVID-19における曝露後発症予防の適応を取得した初の経口抗ウイルス薬となります。
※2 PEP: Post-Exposure Prophylaxis(曝露後発症予防)
COVID-19は現在もなお、公衆衛生上の重大な課題です。COVID-19の予防においてはワクチン接種が基本とされています4が、接種率の低さや接種後の免疫効果が時間の経過とともに減弱することに加え、新たな変異株が出現する可能性を考慮すると、ワクチン接種のみでウイルス感染や発症、重症化を完全に抑制することは困難です。このような状況の下、COVID-19患者と接触された方に対する抗ウイルス薬の予防投与は、特に重症化リスク因子を有する方において、COVID-19予防における重要な選択肢の一つとなります。
塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つとして「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めています。今後も、社会の安心・安全に貢献するとともに、新たな変異株の出現や今後の流行状況に合わせ、必要とされる治療薬や予防薬、ワクチン等を迅速に提供できるよう、感染症に関する研究開発を推進してまいります。
なお、本件が2027年3月期の連結業績へ与える影響は、2026年5月12日に公表した業績予想に織り込み済みです。
以 上
【SCORPIO-PEP試験について】
SCORPIO-PEP試験は、COVID-19を発症した患者の同居家族または共同生活者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較のグローバル第3相臨床試験です。本試験は米国、南米、アフリカ、日本を含むアジアの地域で2023年6月から2024年9月にかけて実施され、経口抗ウイルス薬として世界で初めて「COVID-19を発症した患者の同居家族または共同生活者における曝露後発症予防」を主要評価項目として有効性が検証されました。本試験には登録時点でSARS-CoV-2感染に関するスクリーニング検査が陰性であり、症状を有していない12歳以上の被験者が参加しました。これらの被験者は、COVID19に感染した有症状患者と同一世帯で生活し、SARS-CoV-2への曝露が確認された方々です。主要解析は、SARS-CoV-2陰性が確認された世帯内接触者2,041人を対象に実施されました。被験者は1:1の割合で、エンシトレルビル群(1日目375mg、2~5日目125mg)またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、1日1回、5日間経口投与を受けました。投与は同居するCOVID-19患者が症状を発現してから3日以内に開始されました。なお、世帯内接触者の98%以上がSARS-CoV-2のN抗体および/またはS抗体陽性であり、ほぼ全員が比較的最近のSARS-CoV-2感染歴、ワクチン接種歴、またはその両方を有していました。
【エンシトレルビル フマル酸について】
抗SARS-CoV-2薬であるエンシトレルビルは、北海道大学と塩野義製薬の共同研究により創製された3CLプロテアーゼ阻害薬です。SARS-CoV-2は、3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しており、エンシトレルビルは3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制します。オミクロン株流行期に、第2/3相臨床試験のPhase 3 part(SCORPIO-SR試験)が実施され、オミクロン株に特徴的なCOVID-19の5症状に対する改善効果(主要評価項目)が確認されました5,6,7。これらの結果に基づき、日本において2022年11月に緊急承認8され、2024年3月に通常承認9されました。また、2025年には、小児を対象とした国内第3相臨床試験10が実施され、良好な安全性と忍容性が示されるとともに、成人と同様の薬物動態を確認しました。この結果を踏まえ、現在の12歳以上から、6歳以上かつ体重20kg以上に範囲を拡大する用法・用量の追加申請を実施しました11。さらに、2026年3月には、グローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)の良好な結果に基づき、日本におけるCOVID-19の曝露後発症予防に関する効能・効果の承認を取得しました12。
海外においては、米国で2025年にCOVID-19の曝露後発症予防を適応症として米国食品医薬品局 (FDA)に新薬承認申請が行われました13,14。欧州では、2025年にCOVID-19の曝露後発症予防と治療に関して、欧州医薬品庁(EMA)による審査が進められています。シンガポールでは、2023年11月にSAR*(Special Access Route)申請に基づいた輸入許可を受けたことにより、一部の医療機関において使用が可能となっています15。台湾ではCOVID-19の曝露後発症予防の適応症で新薬承認申請中です。
これらに加え、当社とMedicines Patent Poolは、低中所得国(LMICs)における本薬の幅広い提供を目的としたライセンス契約を締結し、グローバルなアクセス拡大に向けた取り組みを進めています16,17。
* SAR:未承認の治療薬を輸入・供給するためにシンガポールが独自に有する薬事システム、医療機関に所属する各医師からの申請が必要
【参考】
1. Hayden, F. G. (2026). Ensitrelvir for COVID-19 postexposure prophylaxis in household contacts. New England Journal of Medicine. Advance online publication
2. Hayden, F. G., Ohmagari, N., et.al. (2025). Ensitrelvir for the prevention of COVID-19 among household contacts: Key subgroup analyses of SCORPIO-PEP phase 3 study [Conference abstract]. Congress of the European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases.
抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)薬 エンシトレルビル フマル酸のグローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)の結果がThe New England Journal of Medicine誌に掲載
一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会・COVID-19 ワクチン・タスクフォース
6. プレスリリース:2022年9月28日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(S-217622)の 第2/3相臨床試験 Phase 3 partにおける良好な結果について(速報)
7. プレスリリース:2023年2月22日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 エンシトレルビル フマル酸によるウイルス力価の早期陰性化ならびに罹患後症状(Long COVID)の発現リスクに対する低減効果について ‐国際学会CROI 2023において新規データを発表‐
8. プレスリリース:2022年11月22日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ゾコーバ® 錠125mg」の 緊急承認制度に基づく製造販売承認取得について
9. プレスリリース:2024年3月5日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ゾコーバⓇ錠125mg」の日本における通常承認の取得について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸の国内第3相臨床試験開始について ‐ 6歳以上12歳未満の小児を対象とした臨床試験を開始 ‐
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 エンシトレルビル フマル酸の日本における6歳以上かつ体重20kg以上の小児に対する用法・用量の追加申請について
抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)薬 ゾコーバ®の日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防に関する効能・効果追加承認について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 エンシトレルビル フマル酸の COVID-19予防におけるFDAへのローリング・サブミッションの開始について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬 エンシトレルビル フマル酸のCOVID-19予防における米国FDAによる新薬承認申請受理について
15. プレスリリース:2023年12月19日
シンガポールにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸の平安塩野義香港とJuniper社のサブライセンス契約の締結およびSAR承認取得について
塩野義製薬とMedicines Patent Poolによる COVID-19治療薬エンシトレルビル フマル酸(S-217622)に関するライセンス契約締結について
Medicines Patent Poolによるジェネリック医薬品メーカー7社との COVID-19治療薬エンシトレルビル フマル酸の製造に関するサブライセンス契約の締結
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