支援体制整備のための活動

発達障がいの支援として、医療機関での支援に加え、家庭、幼稚園・保育園・学校、職場、相談・福祉機関での支援体制整備が進められていますが、取り組むべき課題は少なくありません。こどもの未来支援室は自治体等と連携を図りながら支援を広げる取り組みを行っています。自治体との連携においては、地域の状況や課題について協議し、連携事業として取り組む課題を特定して推進しています。

研修会

●発達障がいの特性に早期に気付き適切な支援・配慮を行える人材の育成(実践型の研修)を目的とした研修会

 対象 連携パートナー 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
保育士
幼稚園教諭
大阪府 333名 130名 313名 1247名
保育士
幼稚園教諭
大川地区医師会・香川県東かがわ市・香川県さぬき市 25名 21名 14名 19名

 

●発達障がいのお子さんの療育及び機関支援に携わる人材の育成を目的とした研修会

 対象  連携パートナー 2020年度 2021年度 2022年度
発達支援拠点の支援者 大阪府 第1回研修:15名
第2回研修:14名
第1回研修:15名
第2回研修:15名
-
障害児通所支援事業所等に勤務する支援者 香川県 - 12名 15名
放課後等デイサービス事業所管理者 横浜市 約80名 9月:21名
3月:43名
12月:38名
3月:38名
児童発達支援・放課後等デイサービス事業所の支援者 横浜市 - - 85名
2022年度 香川県支援者研修会
2022年度 香川県支援者研修会

●Topics: 放課後等デイサービスでの支援に携わる人材に向けた研修(連携パートナー:横浜市)
お子さんが適切な支援を受けることでよりよい生活が送れることを目指し、発達障がい特性のあるお子さんが多く利用される放課後等デイサービスでの支援に携わられる方(児童発達支援管理責任者、児童指導員など)を育成する研修を行っています。これまでに横浜市の放課後等デイサービス事業所全体のおよそ5割1にあたる220事業所の支援者の方に受講いただいています。

当研修では、評価の結果に基づいて活動の改善につなげる「社会的インパクト・マネジメント」2を取り入れ、当研修が社会にどのようなインパクトを与えているのかを「見える化」することにも取り組んでいます。2022年12月に開催した研修の事後テストに回答いただいた方を対象とした評価では、多くの受講者で支援のスキルが向上したと推察されるなど3、研修がお子さんの支援にもたらす効果を確認できています。受講者からは、お子さんの行動の理由に合った支援をすることで、お子さんが少しずつ落ち着いて過ごせるようになってきた、自分の意思を伝えてくれるようになった、などの声をいただいています。

12023年4月時点。事業連携協定締結前2020年度の研修から延べ参加事業所数での算出(重複含む)。

2事業の社会的な効果や価値に関する情報にもとづいた事業改善や意思決定を行い、社会的インパクトの向上を志向するマネジメント。(出典:SIMIグローバルリソースセンタ(外部サイト))
3研修後の事後テストに回答いただいた方を対象とした評価。

【研修講師をご担当いただいている明星大学 竹内康二先生からのコメント】

家庭と学校に続く第三の居場所として定着した放課後等デイサービスを利用するお子さんの困りごとは様々であり、行動面で多様な課題が生じます。

こういった課題に現場の支援者が対応するために、「ポジティブ行動支援」*の考え方に基づいて、お子さんの行動の理由を推測する「機能的アセスメント」ツールと、その結果から個々に応じた支援方法を導き出せるツールを私の研究室で開発しました。これらを活用した支援が実践できるように横浜市の放課後等デイサービス向けに研修を行っています。

社会的インパクト・マネジメントの考え方に沿って、研修参加者の声も聞き取りながら研修の効果を評価し、結果に基づいて研修内容やツールを改定してきたことで、非常に有益な研修となっていると感じています。

 

研修前に課題提出などがある中、多くの参加をいただいており、支援者の「子どもを理解し支援をしたいという熱意」が伝わってきます。この熱意に対し、「こうすべき」という持論を述べるのではなく、現場の最前線に立つ支援者の目線で実践的なツールを開発・提供する責任があると考えています。今後も研修を通して、障害のあるお子さんにとって、家庭と学校に続く第三の居場所として定着した放課後等デイサービスでの支援を充実させられるように努めていきたいと思います。

*望ましい行動を増やすことで望ましくない行動を減らすことを目的とするもので、様々なタイプの行動を改善する効果が高いだけでなく、子どものメンタルヘルスを高めるためにも有効と考えられています。(Japanese Journal of Behavior Analysis, 2020, Vol. 34, No. 2, 166–177)

2022年度 横浜市支援者研修会
2022年度 横浜市支援者研修会
発達障がい特性のあるお子さんの支援者を育成する研修のロジックモデルと評価項目

 

●保護者が発達障がいの特性のあるお子さんとのよりよいかかわりを学ぶペアレント・トレーニングを実施できる人材の育成を目的とした研修会

 対象  連携パートナー 2020年度 2021年度 2022年度
児童発達支援事業所等の支援者 広島県 20名(6回すべて受講) -

説明会:189名

研修会:95名

 

●小・中学校における特別支援教育を推進する人材の育成を目的とした研修会

 対象  連携パートナー 2020年度 2021年度 2022年度
特別支援教育中核コーディネーター・エリアコーディネーター等
岩手県 21名 第1回研修:57名
第2回研修:80名

第1回研修:25名

第2回研修:22名

研修資料作成の協力

●保護者が発達障がいの特性のあるお子さんとのよりよいかかわりを学ぶペアレント・トレーニングを実施できる人材の育成への活用を目的とした研修資料の作成

 対象  連携パートナー 2019年度 2020年度 2021年度
児童発達支援事業所等の支援者 広島県 テキスト作成 テキスト公開 動画作成