第1期事業の学びを進化へ ~ママの“ストーリー”を次のママヘ

第2期事業では、引き続き国際NGOワールド・ビジョンとともにケニアで母子の健康課題を抱えるキリフィ県ガンゼ準県において、「医療施設の整備」、「住民への啓発」、「保健人材の能力強化」に加え、地域の診療所を統括する上位層病院との連携を通じて、地域全体のコミュニティ保健システムの強化に取り組んでいます。
第1期事業を通じてナロク県のお母さんは、子どもを産み育てることについて様々な経験をし、学びを得てきました。第2期事業では、その学び(ストーリー)をキリフィ県のお母さんへ届けます。

事業概要

事業地 ケニア共和国 キリフィ県ガンゼ準県 バンバ地域およびジャリブニ地域
対象人口 77,506人(直接受益者:28,196人 間接受益者:49,310人)
実施期間 2020年4月~2023年3月(3年間)
2023年4月~2023年12月(干ばつの影響により期間を延長)
事業費 18,700万円

支援地域

アフリカ、ケニア、地図
キリフィ県は、ケニア国内でも貧困率が最も高い地域の一つです。干ばつが頻発し、食糧不足と貧困から抜け出せず、子どもの栄養不足も深刻です。保健施設や保健人材の不足、安全で清潔な水へのアクセスが限られており、妊産婦死亡率が高く、マラリアの感染率も高いなどの課題があります。

バンバ地域・ジャリブニ地域の母子保健課題

保健サービスが
届きにくい

自宅から5km以内に
保健施設がない人

60%越え

医療従事者の不足
技能の不足

1診療所に
看護師

1,2名のみ

安全で清潔な
水へのアクセスが制限

改善された衛生施設
(トイレ)の使用率

5%

地域住民の知識不足、
干ばつによる水不足、
農業困難

深刻な栄養不良
貧困率

46.4

地方政府の
コミットメント不足
(保健予算・連携)

地方政府
保健予算

26

バンバ地域・ミドイナ診療所
看護師1名のみ、
出産件数6~10件/月、外来診療600件/月
ジャリブニ地域・ジャリブニ診療所
コミュニティによって着工された産科棟
建設は中断したまま
表1.保健指標(参考値)
項目  ケニア全体※1 バンバ地域※2 ジャリブニ地域※2
人口 5,200万人 4.2 万人 3.4万人
産前健診受診率(4回以上) 57.6% 44.1% 23.3%
専門技能者の介助/保健施設での出産割合 61.2% 77.5% 15.4%
予防接種完遂率 74.9% 75.0% 50.3%
下痢の罹患率 15.2% 27.6%※3 -
マラリア罹患率 8.0% 22.9% 35.7%
改善された水へのアクセス ナイロビ:83.7% 18.7% -

※表1は参考データ。様々な情報源から抽出しているため、厳密には比較できない。

  1. ※1
    Kenya Demographic Health Survey 2014 
  2. ※2
    Kilifi CIDP 2018-2022
  3. ※3
    World Vision Survey 2013

活動内容

本プロジェクトでは、妊産婦の出産環境を整えるだけではなく、コミュニティへの教育・啓発や保健人材の能力強化、水衛生環境の整備、政府へのアドボカシー等を通じて、地域の健康管理の自走を目指しています。

  第1年次 第2年次 第3年次
  2020年4月~2021年3月 2021年4月~2022年3月 2022年4月~2023年3月
主な活動 保健人材・システムの基盤整備 コミュニティ活動の強化・拡充 持続的な地域保健システムの確立
  • ベースライン調査
  • 保健施設の整備(産科棟)
  • 医療従事者の基礎技術研修
  • コミュニティ保健人材への研修
  • アドボカシー・グループの立ち上げ、研修
  • 保健施設の整備(産科棟・臨床検査室等)
  • 水供給施設の整備
  • 保健・栄養リフレッシュ研修
  • コミュニティの保健・栄養活動のモニタリング・指導強化
  • コミュニティの保健・栄養活動のモニタリング・指導体制の強化
  • 活動成果と課題の確認
  • 政府関係者との連携強化

<事業目標に対する主な指標>

目標の達成度は以下の指標(KPI)とターゲット(ベースラインからの変化)に対する達成度で評価します。

パートナーとの連携

パナソニックホールディングス株式会社との連携 ~診療所への電力供給~

第2期事業では、キリフィ県の3つの診療所を対象に支援しています。
その一つであるリマ・ラ・ペラ診療所は、電力の供給がなく、ワクチンは不安定なガス冷蔵庫で保存、医療機器や検査機器も十分に使用できず、提供できる医療サービスが制限されています。

2022年、パナソニックホールディングス株式会社「LIGHT UP THE FUTUREプロジェクト」の協力を得て、太陽光発電・蓄電システムを提供いただくことになりました。診療所に電気が通ることによって、夜間診療、夜間の施設分娩や安定的な医療機器の使用が可能となり、必要な医療サービスをより多くの方に提供できるようになることが期待されます。

 

連携のきっかけについてはSDGsマガジン「ソトコト」で詳しく説明していますのでぜひご覧ください。

https://sotokoto-online.jp/sustainability/13368(外部サイト)

 

Mother to Mother SHIONOGI Projectはこれからも、さまざまな強みを持つ企業様・NGO様と連携し、コレクティブ・インパクトによる社会課題の解決を目指して活動していきます。

事業連携イメージ
風景写真

活動報告

活動報告書